ありきたりの恋の話ですが、忘れられない恋です
葛藤
彼が残していった言葉と指に残る彼の唇の熱が、望愛の心を振り回していく。
今さら、どうして…
結婚しているくせに…
思わせぶりに振り回そうとするの?
悩んでも答えは出てこないまま、次の日はやってきて仕事が待っていた。
寝不足気味で出勤すると、小倉さんが待ってたかのように不気味な笑顔で近寄って来る姿が見え、頬が引き攣りつつ笑顔を浮かべる。
こっちの問題もあったのだと、寝不足気味の頭に頭痛がおきた。
「篠原さん、おはよう」
「小倉さん、おはようございます」
「昨日は、驚いちゃたわ。初対面なのに、失礼な人よね」
むすっと口を尖らせて怒ってるようだ。
確かに初対面での晶兄の対応はいい大人としてないと思うけど…あれが晶兄なんだとは言えない。
「そうですよね」
私はいい大人だからではなく、後々、面倒になるので彼女に同意しておく。
「イケメンでも、あれはないわ。私、あんな失礼な態度とられたの初めてよ」
「そうですよね…小倉さんが同僚として挨拶してくださったのに」
「違うわよ。私に少しも興味を持たないなんてありえないって言ってるの」
「…はぁ」