ありきたりの恋の話ですが、忘れられない恋です
どうしてこの人には奥さんがいるのだろう⁈
私に会いに来てくれるが、帰ったら奥さんと過ごしているのだろうと思うと、当たり前になる前に、これ以上一緒にいるべきじゃないとわかっている。
不毛な恋なんて辛いだけだ。
わかっているのに、この手を振り解けない私は、彼の腕にしがみついた。
今だけは、彼は私のものだと…
そんな私の姿を友人の鳴海に見られていたらしく、彼が帰った後でお怒りのメールが届いていた。
『合コンこなかった理由って、あの男なの⁈』
既読後、すぐに電話がかかってきた。
「のあ、どういうことなの?」
「…うん。お兄の結婚式で会ってから、会いに来るようになった」
「はあっ、3年前に結婚するからって振った男だよ。今さらなんのようなのよ。のあの気持ちはわかるけど、わかってる?既婚者でしょ」
「わかってる。でも、好きなんだよ。会うだけでいいの」
「そんなの辛くなるだけでしょ!」
「…もう、辛いよ。辛いけど、どうしたらいいかわかんない」
「わかった。私に任せなさい。他に好きな男が見つかるまで合コンでも、紹介でもするから、泥沼に足を突っ込んじゃダメだからね」
「わかった⁈」と半泣きの私に喝を入れる鳴海に、晶兄から離れる決心を誓った。