ありきたりの恋の話ですが、忘れられない恋です

『ノンちゃん?』

聞き覚えのある声に、私は心底から安堵して叫んでいた。

『晶兄、助けて』

ざわざわと集団がざわつき、晶兄が手前に出てきていた。

『その子達、高校だけど、どこ行こうとしてるの?』

晶兄の不気味な笑顔に、男達は慌てだし『やばい』と逃げて行ったが、目の前の晶兄の不気味な笑顔が、今度は私達に向けられた。

『ばかやろう。偶然、俺が通りかかって、気がついたからよかったものの、気がつかなかったら、あいつらに回されてたんだぞ。そんな似合いもしない化粧と服なんてきてると頭の軽い女に見える。だからバカな男に漬け込まれて危ない目に遭うんだ。高校生なら高校生らしい格好をしてろ』

助けられてホッとしてるところに、その場でお説教を食らったのだ。そこには、私の知っている温和な口調で毒を吐き、私には自分を僕と呼ぶ晶兄はどこにもいなかった。

イケメンがすごむと迫力があり、本当に恐ろしかった。

親には内緒にしてくれる約束で、今後、夜遊びしないと約束させられて、同僚と別れた晶兄に順番に家まで送られる際、再び晶兄にメイクと服装をぼろかすにけなされたことで鳴海は、晶兄をよく思っていない。
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