ありきたりの恋の話ですが、忘れられない恋です
あの時のことは感謝しているが、『あんなののどこがいいのかわからない』と鳴海の口癖になっていった。
多分、この頃から彼は猫を被るのはやめて、私の前でも素の自分を出してきたと思う。なぜなら、僕と呼んでいた自分呼びを俺と呼ぶようになったからだ。
兎に角、晶兄の毒つきに免疫のある私でも、相当凹んだ記憶があり、それ以来、年相応の格好とメイクをするようになった。
晶兄と鳴海が会ったのはその一回きりだが、あの未遂事件以来、鳴海にとって、晶兄のような性格のタイプは苦手のようだ。
「いい、望愛。今日は結構いい物件(男)だからね。俺様もいないし、毒吐きもいないし、1人ぐらい、連絡先の交換をして2人で会う約束まで頑張るのよ。望愛の気持ちをまた弄ぶ、あいつのような男はいないし、みんな真剣に結婚まで考えれる彼女を探してる人ばかりだからね。不毛な恋とはおさらばするのよ」
鼻息が荒い鳴海は、そう言って私を合コンに連れ出した。
私もこのままじゃいけないとわかってるので、晶兄への気持ちを断ち切る覚悟でここまでやってきた。
「で、あいつとは別れ話はしたの?」
まだ誰一人男性陣が来ていない状況だからできる会話だ。