ありきたりの恋の話ですが、忘れられない恋です
『うん。私も尊敬してる。だから、厳しい事言われても頑張ろうって毎日思うよ』
『無理したらダメだよ。ノンちゃんが怪我しないか心配だよ。スポーツに頑張る姿は素敵だと思うけど、ちゃんと休息も取らないとね』
『…ありがとう』
嬉しいやら、照れ臭いやらで下を向いていたら、いつの間にか目の前に立っていた晶兄が、『重そうだね』とカバンを肩から下ろしてくれた。
驚いて彼を見上げたら、魅力する笑顔で微笑む彼に…
うわー、天然のタラシだ…と頬を染めた。
女子で流行っている恋愛漫画で覚えたばかりの言葉を心で呟き、女の子扱いされる身長160センチはある私の姿に兄は、ニヤニヤとしながら見ていたと思う。
『髪が雀の巣みたいになってるよ』
私の髪を一掴みして、ニコリと笑う晶兄。
『でたよ。晶斗の毒吐き』
ギャハハと口を開けて大笑いのお兄より、私の王子様の口から出だと思えなくて唖然とした。そして、真っ赤になって2階の自分の部屋に逃げたのだった。
その日を境に、晶兄が家に遊びに来る頻度が月2〜3回と増えていった。
この頃から、私の気持ちは兄にバレていたらしい。