ありきたりの恋の話ですが、忘れられない恋です
同僚らしき人が彼の肩を叩きながら、からかいだす。
「先輩は眼中にないらしいですね」
「こっちだってアウトオブ眼中だ。眼中に入ったら言葉だけで殺される」
失礼な発言は私のことでしょうか?
ムッときたが、そこは鳴海の顔を立てて我慢した。
「それに元々俺は、鳴海ちゃん狙いなんだよ。そうじゃなかったら鳴海ちゃんのお願い聞いて、合コンの人数集めなんてしないから。俺、マジだからね」
大勢の前での告白に、隣の鳴海は顔を真っ赤にさせて、まんざらでもなさそうに照れていた。
さっきの失礼な発言は、鳴海に告白して振られると心配しての発言なら、許してあげようと微笑ましく見守った。
「ありがとう。嬉しい」
ツンデレ娘の鳴海の返事が予想外だったらしい彼は、驚きの後、頬が緩みっぱなしになる。
ここで1組のカップルができたことで、私以外の女性達が積極的になりだした。
そんな中、鳴海の彼氏になるであろう男性が、時計を気にしだす。
「望愛ちゃん、今日の合コン、あいつに話してないんだろう⁈」
彼が言うあいつとは、お兄のことだろうか⁈
「うん」
「それはやばい。望愛ちゃんはこの中で気になる男はいないよね」