ありきたりの恋の話ですが、忘れられない恋です
「晶兄…痛いから手を離して」
「離さない。俺が合コンの話を聞いて、今日までどんな気持ちでいたかわからないだろ。のあとは、気持ちが通じ合ってるって舞い上がってた。行かないと思っていたのに…今更、俺から離れて他の男になんか渡せない」
手首を掴んだまま入って行くホテル街のラブホで部屋を取り、ドサっと体をベッドに投げ倒された。
「…あきにい」
「その晶兄呼びやめろ。今から望愛を抱く。もう、我慢なんてするか!…絶対、守るから俺のものになって」
ベッドに片膝をついて乗り上がった晶斗は、少し赤くなった私の手首に唇を乗せ、懇願する。
もう、晶兄、いや晶斗しか愛せないと気がついた私は、不毛な恋でもいいと彼に抱きついていた。
「晶斗…好き。ずっと好きだったの。晶斗以外いらない。私を晶斗のものにして」
「ノンちゃん、後悔しない?」
不倫だとわかっていても後悔なんてしない。
彼の側にいられるなら、愛人でもいいと思う。
「あきと、さっきみたいにのあって呼んで」
「…の、あ」
「うん」
「ずっとのあが好きだった。今度こそ、離さないよ」
こちらは初めてだというのに、晶斗の愛は深く、何度果てても、彼は離してくれず、彼の腕の中で目覚めたのは、お昼を過ぎていた。