ありきたりの恋の話ですが、忘れられない恋です
体を重ねてからというもの、私の部屋で短い逢瀬が始まった。
約1時間かけてやってきて、2時間ほどイチャイチャして、また1時間かけて帰る日を繰り返している。
ほぼ毎日のことで彼の体が心配になるが、泊まってほしいとは言えないのは、彼には家庭があるからだ。
初めて抱かれたあの日以外、外泊をしていない晶斗は、上手く奥さんを誤魔化せているのだろう。
奥さんには申し訳ないと思うが、もう晶斗のいない生活なんて想像できない。私ができることは、晶斗を毎日家に帰してあげることだけだ。
「ただいま」
「お帰りなさい」
晶斗にスペアキーを渡してあるが、彼は、私の部屋に来るようになってから、自分の家に帰ってきたかのように後から来るようになった。
だから、私も夫婦ごっこを味わう。
「ご飯、お風呂、どっちにする?」
「のあが食べたい」
ベタな恋愛ドラマのように晶斗の首に抱きつき、晶斗もそれに応えて付き合ってくれる。
チュッ、チュッと甘ったるい軽いキスから始まり、晶斗と私はお互いの服を脱がせっこして、お互いを求めるように激しく貪るキスをして、短い時間、悦楽に没頭する。
足を絡め、お互いに抱きついている時間が一番好き。
「のあ」
「うん?」
「もう少しだから、待ってて。片付いたら結婚しよう」
例え睦言だったとしても、いつまでも待つと頷いた。