ありきたりの恋の話ですが、忘れられない恋です
だからといって応援してくれる訳ではなく、晶兄の前で赤くなったり、狼狽えたりしてる私を見て面白がっていただけのような気がする。
晶兄の王子のような外見や振る舞いを見てるだけではわからなかった本性に、最初は戸惑っていた。
そのうちポツリと毒吐くことや、性格に難があっても許せてしまう。
それは、晶兄だから…
お兄だったら、些細なことでも喧嘩に発展していた。
晶兄の滞在時間は、30分から2、3時間程とまばらだったが、会える事に浮かれ、まだ、世の中を知らない私は、彼がその後、誰と何をして過ごすとかまで気が回らない子供だった。
一緒に過ごせるだけで満足し、恒例となった晶兄とお兄と私のTVゲームでのレースの対決に夢中になる日々のある日。次回の対決を楽しみに、何気なく予定をたずねた。
『今度は、いつ頃くるの?』
『そうだな…就職活動をしないといけないから、いつとは言えないな』
ガッカリ感が表情に出ていたのか、晶兄に頬を摘まれる。
『ノンちゃんは、受験生だろ⁈志望校に俺達の卒業校を目指してるって聞いたけど、今の成績じゃ危ないんだって⁈』
情報の出どころであるお兄は、後ろのソファで寛ぎながらコントローラを操作していて、素知らぬ顔が更に怒りを彷彿させる。