ありきたりの恋の話ですが、忘れられない恋です
溺愛〜晶斗side
俺は、望愛に手を挙げたあの女を許す気はない。
この3年間、穏便に済ませようと下手に出ていたが、そんな気持ちは失せさせたのはあいつだ。
もう少しだなんて言ってのあを待たせている以上、強硬手段を使うことにした。
今まで集めた証拠をつき出して、離婚が成立した俺は、その足で、すぐに望愛の元に向かった。
「オレ」
初めて鳴らすインターフォンに、のあは、戸惑っていた。
「あがったら…」
緊張から、俺は何度も唾をごくりと飲む。
小さなテーブルを挟んで対面し、何から話ていいのかと頭の中を巡らせて、最初にでた言葉は、一番言いたかった言葉だった。
「のあ…全て終わった。俺と結婚してください」
本来なら、もっとスマートにかっこよく、素敵な場所でプロポーズしたかったはずが、ありふれたつまらないプロポーズになってしまったと言ってから後悔する。
それでも、望愛は顔中で嬉しいと口を両手で覆い、感動で声も出ないようだ。
「YESだよな」
まだ口を両手で覆ったままで、コクコクと頷いて嬉しさを噛み締めている手を掴み、ずっと前から用意していた指輪を薬指に嵌めた。
指輪を見つめ、うるうると涙を溜めている望愛。