ありきたりの恋の話ですが、忘れられない恋です
「ほんと、サイテーだよな。でもさ、望愛も悪いんだぜ。俺に好意を隠そうとしなかったろ。好き、好きって顔で側にいられて、手を出せないなんて拷問だからな」
「なんか、ごめん」
「うん、まぁ、男の事情だから…。兎に角、口実を見つけては、会いに行ってたわけ。会わないでいるうちに、他の男に取られてたなんて最悪だかな」
ビシッとデコピンがおでこにはいる。
「覚えてるか?ラブホに連れ込まれそうになったこと」
「あっ、うん。あの時はありがとうございました」
「ほんと、何もなくてよかったよ。大学生になっても
好意を隠さないくせに告白してこなかったろ?待ってたんだぞ」
「まだ、告白する勇気がなかったの。晶斗の周りは大人の人ばかりだし、まだ、子供扱いされてたし、6歳差はあの当時は大きかったの。晶斗から告白してくれてもよくなかった?」
「あのな…まだ未成年、友人の妹に俺から手を出すなんて勇気がいるんだよ」
納得いかないらしく、唇を尖らせている。これは彼女の癖でもあり、その仕草が昔から可愛いくて仕方ないのだ。
チュッと、彼女の唇にキスをおとした。
「ごまかされないからね」と言いながらも、口元はニヤついている。
ほんと、こういうところも可愛い。