ありきたりの恋の話ですが、忘れられない恋です

「晶斗と妹の初めての出合いは、晶斗は高校生で妹が小学6年生の時でした。妹のように可愛がってくれてると信じていたのに、彼は、いつの間にか妹に恋していたのです。ここにいる友人達も彼の妹への気持ちに気がつくほどです。まぁ、彼も分別があり、ずっと一定の距離を保っていたのですが、妹が高校を卒業して大学生になったある日、彼は僕に妹に告白して、交際したいがいいだろうかと尋ねてきたのです。僕は、色々と彼のことを知りすぎていて妹の彼氏として彼を認められませんでした。だからこそ、妹が大学を卒業するまで我慢できたら本物だろうと彼を試したのです。まぁ、見事に期待を裏切ってくれましたが…それでもずっと彼は妹を思っていてくれたようで、僕の結婚式で再会した2人は、いろいろあったようですが、乗り越えてやっと結ばれた2人です。新しい命も誕生する彼らを見守っていきたいと思います。僕の結婚式で家族ぐるみの付き合いが楽しみだと宣言した通り、これからは家族として、友人として仲良くしよう。晶斗、僕をお義兄さんと呼んで抱きしめてくれ」

さぁ、と手を広げ待ち構えている。

昔から、こいつはこういう奴だったと過去の記憶を思い出す。

隣では望愛が、ニコニコと微笑ましく笑っているから、まぁ、彼女が喜ぶならと、淳弥、いや、「お義兄さん」と抱きついた。

耳元で「やってくれたな」と耳打ちすれば、ニタリと悪い笑みを残して席に戻ったのだった。

こうして、やっと、望愛との新婚生活が改めてスタートする。

あっ、そうそう、彼女が怒っていた理由は…

「3年もなにやってたんだろうな」って、俺のセリフを思い出したからだった。

勝手に勘違いした望愛は、自分に言われたのだと思い、俺を忘れようと苦しんだらしい。

俺が望愛を諦めない限り、そんな話は無理なのに…

永遠に、愛してるよ…

[終]
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