ありきたりの恋の話ですが、忘れられない恋です
『期待してないよ。ただ、努力しないでいたらその先が狭まるだけだからね。ノンちゃんは、僕らの後輩になりたくないの?』
優しそうな顔なのに、ほんと、性格悪いんだよね。
『そりゃ、なりたいけど…』
『頑張ってみなよ。わからないところは教えてあげるから、連絡先交換しよう』
『いいの?』
くいつく私を見て、笑いを我慢するお兄にコントローラーを投げつけた。だが、上手くかわされ、ソファがクッション代わりになり壊れることは回避。
『淳弥に聞いてもわからないところがあるなら、教えてあげるよ。なんてった、あいつより僕の方が成績は上だったからね』
お兄が、少し焦った。
『晶斗、兄としての俺の面子がなくなるだろう。そこは俺の方が良かったって言ってくれよ』
『事実だったろ』
『おまえなんて、嫌いだ』
『俺はおまえのこと好きだけど』
うらやましい…
なぜだが、好きだと言ってもらえるお兄がとても羨ましかった。
テストの結果は、頑張ってみたけど徹夜したところで成績が上がるはずもなかった。
初めて、晶兄へのメールがテストの結果なんていう恥ずかしいものだったけど、それを機に、SNS機能をフル活用して勉強を教えてもらうようになった。