愛は知っていた【完】



それから月日は流れ、俺も受験勉強に本腰を入れていたのだが、結果的に白井先生から頂いた野球の名門からのオファーに乗り、俺は地元から離れた高校へ推薦で進学をすることになったのだ。
卒業を控えた俺は、実は朱里に心残りがあって、物理的距離をおけばきっと吹っ切れられると考えた。

いい加減吹っ切れなければ。
あれだけ言っていたのに、彼女だっているのに、まだ朱里のことが好きだなんて口が裂けても他言できやしない。

ただ、このまま付き合い続けても遠距離恋愛になるし、彼女のことを本気で愛してない以上、この関係にもケジメをつけるべきだと思った。
なんだかんだで彼女は良い奴だった。
ルックスも上の上なのだから俺みたいな最低男とは別れて、もっと素敵な人と交際するべきだ。

だから意を決して俺は彼女をフった。
彼女は俺の進学先も知っていたゆえになんとなく察しがついていたのか、それをすんなり受け入れてくれた。
< 26 / 79 >

この作品をシェア

pagetop