愛は知っていた【完】
俺達はいつから惹かれ合っていたのだろう。
いつから兄妹であることを恨み始めたのだろう。

こうして交わることは禁忌だったが、この期に及んで互いに歯止めが利きそうになかった。
俺は朱里をベッドに押し倒して、まだカーテンの向こう側は明るいというのに、欲のままにその貞操を抱いた。
朱里も一切抵抗することなく俺に全てを委ねてくれた。
それが堪らなく嬉しくて、今自分達が背徳のど真ん中にいるだなんてことはどうでもよくなってしまう。

繋がろうとした時、痛みに表情を歪めている朱里を見て俺は戸惑っていたのだが、そんな情けない俺の背中を押すように朱里が「大丈夫だよ」と笑ってくれた時は、また泣きそうになってしまった。
邪魔者は一人もいない空間で、同じ幸福を噛み締めながらひとつになった俺達は、それから同じまどろみに溺れて、同じ夢を見るのだろう。

朱里、好きだ。妹としてじゃない。
一人の女として誰よりもお前を愛している。
けれど、それも今日で終わりだ。
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