愛は知っていた【完】
*
お兄ちゃんとたった一度きり交わったあの日から自然と時は流れていき、春休みも残すところ四分の一となった。
北海道の田舎町では尚も雪景色は健在していて、穏やかな空のもと反射した銀色が宝石のように眩しい。
人影がまばらな駅のホームで談笑している一家。
その中にいた私は今にも泣きそうな思いで胸が張り裂けそうだった。
しばらくすると電車がホームに駆け込んできて、冷たい風が頬を掠める。
髪の毛や巻いていたマフラーを靡かせた電車は、プシューと気の抜けるような音と共に停車した。
お兄ちゃんに早く乗れと急かすかのように開く自動ドア。
とうとうこの時が来てしまった。
お兄ちゃんが私の傍からいなくなってしまう日。
でも、一生のお別れってわけじゃない。
長期休みには部活の合間を見て帰郷するだろうし、私達がそっちに様子を見に行くことだってできる。
定期的に連絡もくれるって言ってる。
お兄ちゃんとの繋がりが完全に絶たれるわけじゃないのだから、こういう時は笑って見送ってあげなきゃね。
お兄ちゃんとたった一度きり交わったあの日から自然と時は流れていき、春休みも残すところ四分の一となった。
北海道の田舎町では尚も雪景色は健在していて、穏やかな空のもと反射した銀色が宝石のように眩しい。
人影がまばらな駅のホームで談笑している一家。
その中にいた私は今にも泣きそうな思いで胸が張り裂けそうだった。
しばらくすると電車がホームに駆け込んできて、冷たい風が頬を掠める。
髪の毛や巻いていたマフラーを靡かせた電車は、プシューと気の抜けるような音と共に停車した。
お兄ちゃんに早く乗れと急かすかのように開く自動ドア。
とうとうこの時が来てしまった。
お兄ちゃんが私の傍からいなくなってしまう日。
でも、一生のお別れってわけじゃない。
長期休みには部活の合間を見て帰郷するだろうし、私達がそっちに様子を見に行くことだってできる。
定期的に連絡もくれるって言ってる。
お兄ちゃんとの繋がりが完全に絶たれるわけじゃないのだから、こういう時は笑って見送ってあげなきゃね。