愛は知っていた【完】
この辺りでサラダバーのあるファミレスと言えば、以前一度だけ朱里と行ったことがある。
確かあのショッピングセンターの一階にあったはずだ。
そうして目的地を明確にさせた俺達は足を進めていたのだが、大きな交差点で信号待ちをしている時に思わぬ人物に出くわしてしまった。
「……輝雪?やっぱり輝雪だー!偶然ね!あっ、もしかしてそっちは妹さん?」
土曜出勤だったらしい。しっかりとスーツを着こなした女は俺と朱里を交互に見ては「あんまり似てないわねー」などと弾んだ声を上げている。
突拍子もなく声をかけてきたのは正真正銘俺の彼女だった。
実は、なんて話の切り出し方はズルいかもしれないが、俺には正式な彼女と呼べる存在がいる。
無論朱里ではない女だ。職場の先輩の紹介で出会った、どこにでもいそうな平凡な女ではあったが、豪く世話焼きで年齢もふたつ年上というだけあり、まるで俺を弟のように扱ってくる。
そんな彼女とはかれこれ一年と半年交際が続いているのだが、俺はずっとその事実を朱里に伏せてきた。
確かあのショッピングセンターの一階にあったはずだ。
そうして目的地を明確にさせた俺達は足を進めていたのだが、大きな交差点で信号待ちをしている時に思わぬ人物に出くわしてしまった。
「……輝雪?やっぱり輝雪だー!偶然ね!あっ、もしかしてそっちは妹さん?」
土曜出勤だったらしい。しっかりとスーツを着こなした女は俺と朱里を交互に見ては「あんまり似てないわねー」などと弾んだ声を上げている。
突拍子もなく声をかけてきたのは正真正銘俺の彼女だった。
実は、なんて話の切り出し方はズルいかもしれないが、俺には正式な彼女と呼べる存在がいる。
無論朱里ではない女だ。職場の先輩の紹介で出会った、どこにでもいそうな平凡な女ではあったが、豪く世話焼きで年齢もふたつ年上というだけあり、まるで俺を弟のように扱ってくる。
そんな彼女とはかれこれ一年と半年交際が続いているのだが、俺はずっとその事実を朱里に伏せてきた。