愛は知っていた【完】
「やっとブラコン卒業か?」


みんなからもこうしてからかわれたりして、その度に、


「まあね~。お兄ちゃんのことは好きだけど、私もそろそろちゃんと彼氏作らなきゃだし」


なんて心にもないこと口にして、悲しみを笑い飛ばそうとした。
どれもこれも自分の首を絞めているだけの行為だった。

一家団欒としている席でお兄ちゃんが彼女のことをお父さんとお母さんに話しているのを聞いていたら、遂には吐き気を催してしまって、家のトイレで静かに嘔吐することもしばしば。
ここにきて、私がお兄ちゃんを想う気持ちがいかに重くて本気のものだったかを実感した。

お兄ちゃんの彼女になった先輩が死ぬほど羨ましい。
どうして私はお兄ちゃんの妹なのだろう。
どうして血の繋がりがあるのだろう。
どうして妹は兄と結婚してはいけないなんて法律があるのだろう。

私は、なんて汚い人間なのだろう。
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