愛は知っていた【完】



マネージャーも辞めて放課後の時間を持て余すようになった私は、後期の委員会で図書委員を務めていた。
別に本を読むのが特別好きってわけではなかったけれど、図書室の雰囲気自体は落ちつけて好ましいものであったから。

放課後当番の時は図書室で宿題を済ませたり、友達に付き合ってもらって雑談したり。
ちなみに今日は一人で宿題のプリントと向き合っていた。
分からない問題があったりすると、よくお兄ちゃんが丁寧に教えてくれたんだよね。

でもお兄ちゃん英語だけは苦手で、私が中学に入りたての頃に英語を教えてって頼んだ時、すっごくぎこちない発音を聞いてはお腹抱えて笑ってたっけなぁ。
しかも字は人の性格を表すとはよく言ったもので、お兄ちゃん少し不器用なところあるから字が汚いの。
それ指摘したらお兄ちゃんダルマみたいに赤面して、私も笑いすぎてむせちゃったりなんかして……。

半分くらい空欄を埋めたところで、私の手からするりとシャープペンが落ちた。
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