愛は知っていた【完】
至って大真面目だった朱里は、どうして笑われているのか分からないとも言いたげに疑問符を頭に浮かべていて、そのポカンとした顔にまた愛しさを覚えてしまう。
笑いすぎて腹痛でも催したのか、はたまた嬉し泣きなのか、安心感からきたものなのか、ハッキリさえしなかったが目尻に涙を浮かべている両親の「孫の顔を楽しみにしている」という返答に、感極まってしまったらしい朱里が俺に抱き付いてきた。
その勢いに耐えられなかった俺は背中から倒れてしまう。
朱里の輝いた瞳から零れた落ちた涙が俺の頬を濡らしたと同時、釣られるように目の奥が熱を孕んだ。
無理なんだと分かっていながら、ずっとこうなることを待ち焦がれていた。
存在しているのかすら不明瞭な微々たる可能性を掴もうと必死だった。
それをこんな形で手に入れられる日がくるなんて、夢でも見ているんじゃないかって疑ってしまうくらいに信じられない。
だけど朱里のこの重みも温もりも、ツンとする目や鼻の痛みも、全部本物なんだ。
それを実感すればするほど止め処なく溢れだす幸せの証に、俺と朱里は最高の笑顔を見せ合う。
二人の世界にようやく春の光が降り注いだ。
笑いすぎて腹痛でも催したのか、はたまた嬉し泣きなのか、安心感からきたものなのか、ハッキリさえしなかったが目尻に涙を浮かべている両親の「孫の顔を楽しみにしている」という返答に、感極まってしまったらしい朱里が俺に抱き付いてきた。
その勢いに耐えられなかった俺は背中から倒れてしまう。
朱里の輝いた瞳から零れた落ちた涙が俺の頬を濡らしたと同時、釣られるように目の奥が熱を孕んだ。
無理なんだと分かっていながら、ずっとこうなることを待ち焦がれていた。
存在しているのかすら不明瞭な微々たる可能性を掴もうと必死だった。
それをこんな形で手に入れられる日がくるなんて、夢でも見ているんじゃないかって疑ってしまうくらいに信じられない。
だけど朱里のこの重みも温もりも、ツンとする目や鼻の痛みも、全部本物なんだ。
それを実感すればするほど止め処なく溢れだす幸せの証に、俺と朱里は最高の笑顔を見せ合う。
二人の世界にようやく春の光が降り注いだ。