君のブレスが切れるまで
 彼女はルームシェア、そして叔父のことが終わると積極的に話しかけてくることはなくなった。私もこんな性格だから雨へ話しかけたりすることはなく、会話をするのは夕食を用意しただの、お風呂が空いただのといった日常的なものばかり。


 私がこうしているのも彼女のシナリオ通りなのか、それとも本当に心からの善意なのか。未だにわからないことだらけで、日に日に不信感だけが募っていく。


「…………」


 無言で隣を歩く赤い眼の少女を横目で観察する。
 夏の暑さをものともしない完全な無表情。雨は一体、何を考えているんだろう?


 信じてしまえば楽なのはわかる。だけど、無条件で信じるのは裏切られた時の事を考えると怖い。
 仲良くなりたいという気持ちはあるのに感謝の言葉だってもっとあったはずなのに、ちゃんと伝えられないのは私が自分に甘いからだろう。


 結局いい考えは浮かばず私は諦めてしまい、特に会話をすることもなく駅のホームへと着くことになる。こんなに私が悩んでいるのも知らずに、雨はその顔色変えず電車が来るのを待っていたようだったけど。


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