君のブレスが切れるまで
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 次の日、私たちは電車を乗り継ぎ、大きな家具屋さんに到着した。
 すごく広いのに新品の木の匂いが香る店内、そして高い天井。なんだか、こういうところに来るとわくわくして辺りを見回してしまう。
 レジの近くにエスカレーターが設置してあり、どうも家具は地下に多く置かれているようだ。
 目的の物は家具なので、私たちはそのエスカレーターに乗ると、地下へと降りていく。


 エスカレーターから降りると、開けた場所。そこはかなり広い空間だったけど、天井は一階に比べてそんなに高くない。
 周りを見渡すと学習机やベッド、タンスなど、家具と言われているものがたくさん置かれていた。


「わぁ……ベッドやテーブルがたくさんある。あ、ソファまで」


 私は近くにあった一人用の黒いソファに腰をかけ、座り心地を確かめていると、雨は私の側に寄ってきて首を傾げた。


「どう?」
「んー……あんまり柔らかくないし、微妙かなぁ」


 近くにいた店員さんは少しだけムスッとした顔をしていたけど、本当のことだから仕方がない。言われたくないのなら、もっといいものをここへ置いておけばいいのに。


「奏は正直ね」


 私は立ち上がると雨の言葉に首を振り、他の家具を見て回るため、一緒に歩き出した。


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