君のブレスが切れるまで
 顔を膝の上に置いている腕の中にうずめながら、ひたすら雨が止むのを待つ。
 そうしていると、誰かの足音が聞こえてきた。その響く足音は時間が経つに連れ、段々と大きくなっていく。
 こっちへ来る、またあの人達かな……。嫌だな、こんなことになるなら早く帰れば良かった。気づかない振りしていれば、諦めてくれる? ……なわけないよね。
 足音が私の近くで止まる。私は体全体に力を入れて、痛みを最小限に抑えようと試みた。


「くっ……」


 体が震えている。痛みには慣れたつもりだったけど、やっぱり怖いものは怖い。
 でも、いくら待っても体に衝撃は走ることはなかった。だからと言って油断はできない。顔を上げれば、そこを狙われるかもしれないから。


「……大丈夫?」


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