君のブレスが切れるまで
 そう言って、彼女らはその場を後にしようとするが――


『あやかに世話になっておいて、それはないよね?』
『うん、ないないー』
『えっ……』


 恵と日向がそれを許さないよう進路を塞ぐ。
 そう、あたしが何の見返りもないことをやるわけがない。寃罪を行った二人に向けて、手を差し出し要求する。


『リスクも承知で逃してあげたんだから、当然タダじゃないことくらいわかるよね? 捕まらなかっただけ、ありがたく思うべきじゃない?』
『っ……わかりました』
『…………くっ』


 世の中の変態共からお金を巻き上げるつもりだったのだろうけど、逆に奪われることになるなんて無様にも程がある。気まぐれでもやってみるものだ。
 だが、受け取った金額は明らかに中学生という子どもの、それ程度だ。
 あたしは軽く微笑みを浮かべる。


『何かの冗談?』
『そ……それしかないんです……ごめんなさい……』
『ふぅん……それじゃあ――』


 間髪入れず、色白の女の腹に蹴りを入れる。


『が……はっ……!』
『なっ……お前っ! うっ!』


 スポーツ少女があたしを止めようとしたのはわかったが、その前に日向が腕を取り、背中に回したのを確認する。
 あたしは足を高く上げ、前のめりになった色白の女の子の頭に踵を落とし込む。


『あぐぅ……! うぅぅぁぁああ!』
『うふふ……あははは!』


 快感だった。おっさんを踏みにじるのも悪くはないが、同い年の子を踏みつけるのもまた格別。
 倒れたこの子の頭を、ぐりぐりと踏み続ける。
 そう、足りないのなら体で払ってもらわないと。例えどんなに払ったとしても、足りないというつもりだったが。


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