君のブレスが切れるまで
第13話 望まぬ来訪者
次の日の夜、奇跡的に天気は晴れ渡り、私は雨と共に花火大会を楽しむことができた。
こんなに楽しかった夏は生まれて初めてだったかもしれない。だって、誰かと一緒にお祭りを堪能できたのは初めてだったから。
けれど、その後に問題が出てしまったんだ。
2017年 8月下旬
もうすぐ夏休みが終わる。
花火大会の次の日、雨は人混みに慣れていなかったせいか体調を崩してしまった。
「欲しいものない? なんでも買ってくるよ」
「ありがとう。けど、大丈夫よ」
「でも……薬くらい」
部屋を見渡すと彼女が前に住んでいたアパートに置いてあった机が目に入る。その上には救急箱が置かれてあった。
すぐにそれを持ってくると、雨が寝ているベッドの横にもう一度座り込んだ。
「薬は常備してないの、外傷用しか入ってなくて」
救急箱を漁っていると彼女にそう告げられる。確かに飲み薬っぽいものは一つも入っていない。
「ほんとだ……それじゃ私の方のを取って――」
そこまで言いかけて、私はその先を言いよどむ。
痛み止めは過去の暴力を受けていた時期に使い果たしたんだった。それ以来、お金がなくて買うのを諦めていた。
「ごめん、あっちにも残ってないや……やっぱり、薬買ってくるよ」
「そこまでしてくれなくても」
「ダメ、雨が苦しそうなのを見てるのは嫌だよ。すぐ買ってくるから待ってて。ついでにスポーツドリンクも買ってくる」
「……ありがとう」
私の勢いに呑まれたのか、雨は大人しく従ってくれる。
病人の彼女を一人、家に置いていくのは気がひけるけど四の五の言ってる暇はない。さっさと買って、さっさと帰ってくればいいだけの話。
確か、花火大会の日に貰ったお金が私の財布の中に残っていたはずだ。
こんなに楽しかった夏は生まれて初めてだったかもしれない。だって、誰かと一緒にお祭りを堪能できたのは初めてだったから。
けれど、その後に問題が出てしまったんだ。
2017年 8月下旬
もうすぐ夏休みが終わる。
花火大会の次の日、雨は人混みに慣れていなかったせいか体調を崩してしまった。
「欲しいものない? なんでも買ってくるよ」
「ありがとう。けど、大丈夫よ」
「でも……薬くらい」
部屋を見渡すと彼女が前に住んでいたアパートに置いてあった机が目に入る。その上には救急箱が置かれてあった。
すぐにそれを持ってくると、雨が寝ているベッドの横にもう一度座り込んだ。
「薬は常備してないの、外傷用しか入ってなくて」
救急箱を漁っていると彼女にそう告げられる。確かに飲み薬っぽいものは一つも入っていない。
「ほんとだ……それじゃ私の方のを取って――」
そこまで言いかけて、私はその先を言いよどむ。
痛み止めは過去の暴力を受けていた時期に使い果たしたんだった。それ以来、お金がなくて買うのを諦めていた。
「ごめん、あっちにも残ってないや……やっぱり、薬買ってくるよ」
「そこまでしてくれなくても」
「ダメ、雨が苦しそうなのを見てるのは嫌だよ。すぐ買ってくるから待ってて。ついでにスポーツドリンクも買ってくる」
「……ありがとう」
私の勢いに呑まれたのか、雨は大人しく従ってくれる。
病人の彼女を一人、家に置いていくのは気がひけるけど四の五の言ってる暇はない。さっさと買って、さっさと帰ってくればいいだけの話。
確か、花火大会の日に貰ったお金が私の財布の中に残っていたはずだ。