君のブレスが切れるまで
2017年 10月
夏の暑さもかなり収まってきて本格的な秋の到来を感じさせる。でも、それをより一層感じさせるのはやはり黒いセーラー服だ。
今日もいつもと同じように高層マンションの下で待っていると、赤い眼の女の子がエントランスの自動ドアを潜り、私の元へやってきた。
「お待たせ」
「うん、今日から冬服だねー」
「ええ、制服、どうかしら?」
雨と一緒に駅の方角へと歩き始め、私は彼女の回りを一回転。黒い制服姿を観察する。
変なところもなく、これぞ雨の服装って感じがして不思議な安心感があった。
「うん、可愛いよ。やっぱり雨は冬服のセーラーが似合うね」
「可愛いと言うのは、ちょっと大げさすぎると思うのだけど。まぁ、そうね。私もこっちの服の方が好き」
「私もどちらかと言えばこっちの服の方が好きかな……」
私の視線が足元へと落ちる。
だって、こっちの方が殴られた痣を隠すにはちょうどいいから。今となっては誰からも暴力を振るわれたりしないので、痣の大半はなくなったけど。
あの頃の痛みを思い出し、左手の二の腕を擦る。
夏の暑さもかなり収まってきて本格的な秋の到来を感じさせる。でも、それをより一層感じさせるのはやはり黒いセーラー服だ。
今日もいつもと同じように高層マンションの下で待っていると、赤い眼の女の子がエントランスの自動ドアを潜り、私の元へやってきた。
「お待たせ」
「うん、今日から冬服だねー」
「ええ、制服、どうかしら?」
雨と一緒に駅の方角へと歩き始め、私は彼女の回りを一回転。黒い制服姿を観察する。
変なところもなく、これぞ雨の服装って感じがして不思議な安心感があった。
「うん、可愛いよ。やっぱり雨は冬服のセーラーが似合うね」
「可愛いと言うのは、ちょっと大げさすぎると思うのだけど。まぁ、そうね。私もこっちの服の方が好き」
「私もどちらかと言えばこっちの服の方が好きかな……」
私の視線が足元へと落ちる。
だって、こっちの方が殴られた痣を隠すにはちょうどいいから。今となっては誰からも暴力を振るわれたりしないので、痣の大半はなくなったけど。
あの頃の痛みを思い出し、左手の二の腕を擦る。