君のブレスが切れるまで
2017年 4月
私は田舎の地元を離れ、遠い地の都会で高校受験を受けた。
結果は無事合格。晴れて、新しい学校生活が始まる。
今日は入学式。家から学校までかなり近く、最寄りの駅から二つ目の駅で降りればすぐに到着する。
私の名前は赤坂 奏、十五歳。とは言っても4月が誕生日なので、すぐに十六歳になる。髪色は黒でストレートミディアムヘア。指定された長袖の黒いセーラー服には私の匂いはまだ遠く、新品の香りで包まれている。
ググっと体が進む方向へと揺れ、電車が停車する。どうやら学校の最寄り駅に到着したようだ。人混みの中、私は押されるように電車から降りると改札口を潜り、外へ出る。
地元じゃ使わなかったけど便利だな、定期って。
昔住んでいたところには桜の木がよくあったけど、ここの回りはビルだらけで石ばかり。こんな場所で上手くやっていけるのだろうか?
「都会の学校、少しだけ不安だな……家よりも楽しければいいんだけど」
私は左右に首を振り、ネガティブな感情を振り払う。回りを見渡すと、同じセーラー服の子、同じ学校だと思われる学生服の男の子達を見かけた。
「とりあえず、学校へいこう」
急ぎ足で歩き出そうとしたその瞬間、目の前に人影が横切りぶつかってしまう。その勢いで私は尻もちをついてしまった。
「ごめんなさい、大丈夫……かしら?」
「いたたた……私の方こそ、急に動いてごめんなさい」
謝りながら目線を上げると、そこには吸い込まれそうな赤い眼をした長い黒髪の女の子が私に手を差し伸べてくれていた。彼女も一瞬だけ驚いたように見えたけど、見間違いだったのか顔色は変えず、まるで人形のように無表情だ。
いきなりぶつかってしまったから、怒ってるのかも……。
そんな彼女に少しだけ恐怖を感じつつも手を借り、私は起き上がる。
「気をつけてね」
「は、はい……ありがとうございます」
女の子は表情を変えずそう言うと、スカートを翻し学校の方へと歩いていく。その手には赤い傘が握られていた。
そういえば、私と同じセーラー服だったけど、あんなに大人びているし先輩……かな? でも、もしかしたら同級生という可能性もありえる。
「考えるのは後、どちらにせよ……学校に行けば会えるんだから」
今度はぶつからないように、私は回りを見渡してから歩き始めた。
私は田舎の地元を離れ、遠い地の都会で高校受験を受けた。
結果は無事合格。晴れて、新しい学校生活が始まる。
今日は入学式。家から学校までかなり近く、最寄りの駅から二つ目の駅で降りればすぐに到着する。
私の名前は赤坂 奏、十五歳。とは言っても4月が誕生日なので、すぐに十六歳になる。髪色は黒でストレートミディアムヘア。指定された長袖の黒いセーラー服には私の匂いはまだ遠く、新品の香りで包まれている。
ググっと体が進む方向へと揺れ、電車が停車する。どうやら学校の最寄り駅に到着したようだ。人混みの中、私は押されるように電車から降りると改札口を潜り、外へ出る。
地元じゃ使わなかったけど便利だな、定期って。
昔住んでいたところには桜の木がよくあったけど、ここの回りはビルだらけで石ばかり。こんな場所で上手くやっていけるのだろうか?
「都会の学校、少しだけ不安だな……家よりも楽しければいいんだけど」
私は左右に首を振り、ネガティブな感情を振り払う。回りを見渡すと、同じセーラー服の子、同じ学校だと思われる学生服の男の子達を見かけた。
「とりあえず、学校へいこう」
急ぎ足で歩き出そうとしたその瞬間、目の前に人影が横切りぶつかってしまう。その勢いで私は尻もちをついてしまった。
「ごめんなさい、大丈夫……かしら?」
「いたたた……私の方こそ、急に動いてごめんなさい」
謝りながら目線を上げると、そこには吸い込まれそうな赤い眼をした長い黒髪の女の子が私に手を差し伸べてくれていた。彼女も一瞬だけ驚いたように見えたけど、見間違いだったのか顔色は変えず、まるで人形のように無表情だ。
いきなりぶつかってしまったから、怒ってるのかも……。
そんな彼女に少しだけ恐怖を感じつつも手を借り、私は起き上がる。
「気をつけてね」
「は、はい……ありがとうございます」
女の子は表情を変えずそう言うと、スカートを翻し学校の方へと歩いていく。その手には赤い傘が握られていた。
そういえば、私と同じセーラー服だったけど、あんなに大人びているし先輩……かな? でも、もしかしたら同級生という可能性もありえる。
「考えるのは後、どちらにせよ……学校に行けば会えるんだから」
今度はぶつからないように、私は回りを見渡してから歩き始めた。