君のブレスが切れるまで
「え……どうして……」
もうすぐクリスマスだというのに稼ぎ時前に無くなるなんて、どう考えてもおかしい。
確かにもう来ないとは思っていたけどそれが影響したの? なんてありえないことすらも浮かんでくる。
とにかく無くなってしまったものは仕方がない。私にとっての選択権が一つ、無くなってしまっただけだ。ここじゃなくても、他のところで買うことはできる。
私はその場を後にし、近くのデパートへと入るとギフトラッピングができるセットを購入する。
「これ抽選券ですー。良ければ二階のガラガラクジを回してみてくださいね」
「あ……ありがとうございます」
そう高い物を買ったわけじゃないのに、なぜか私は抽選券を貰ってしまった。
まぁ、いっか。どうせ当たるものじゃないのは知ってるし、一等は抽選最終日かその辺りくらいにしか入ってないだろう。
そんなことを思いながらもエスカレーターに乗り、私は二階の抽選受付までやってくることになった。
こんなことになるなら、雨と一緒に来たかったけど……やっぱりこのギフトラッピングのセットを見られるわけにもいかないよね。
手に持った物を見て、そんなことを考えながら列に並ぶ。しばらくすると列の前の方から男の子の泣き声が聞こえてきて、辺りに響き渡った。
「うわああああああん、まだ回したいぃぃぃ!」
「もう三回回したでしょ。わがまま言わないの……」
子どもが嫌いなわけじゃないけど、あんな風に泣き喚かれると流石に顔をしかめてしまう。
人の目があるところでは親が強く言えないのを、子どももわかっているからこんなことができるのだ。
「ああああああああっ! うぅぅぅ!」
ずっとこの声を聞き続けているのは気が滅入ってしまう。私の抽選券で泣き止んでくれるかわからないけど、それで済むなら安いものだ。
私は列を離れ、床に寝転がっている小学校低学年くらいの男の子に抽選券を手渡した。
「はい、これでもう一回だけ引けるから。でも、お母さんのことあんまり困らせちゃダメだよ?」
男の子はすぐさま私から引ったくるように抽選券を受け取ると、ケロっとした笑顔で列に戻っていった。
母親は何も言わず私の方を向くと、頭を下げたか下げてないかわからないくらいの会釈をされ、愛想もなく男の子の後ろへと並ぶ。
子もあれなら、親もそれなり……か。感謝しろとまでは言わないけど、あからさまにそんな態度をとられると気持ちのいいものじゃない。
今日は小物屋さんが無くなっていたし、このデパートも広くて歩き疲れてしまった。インドア派は外に出るだけでも体力を消耗する。その上でのこれは考えものだ。
早く帰りたい気持ちはあった、しかし先程の気疲れもあるようで足取りは重い。
少し休んでいこう。
私はいろいろなことに対してため息をつくと、近くにあるベンチへ腰を落とした。
賞品が載っている看板に目を向けると、それなりの景品が――
「うおぉぉぉぉぉぉ!」
抽選券を貰って泣き止んだかと思えば、ガラガラくじを回す男の子の雄叫びが聞こえてくる。本当に現金な子。
気を取り直し、先程の行動に目を移す。
一等はハワイ旅行。
パスポートなんて持ってないし、英語も喋れないしで、もし当たっていたとしても私には困る代物だ。
だけど雨ならなんとかしてくれそうな気もする、空想の中ではあるが雨との海外旅行は面白そうだと感じた。
もうすぐクリスマスだというのに稼ぎ時前に無くなるなんて、どう考えてもおかしい。
確かにもう来ないとは思っていたけどそれが影響したの? なんてありえないことすらも浮かんでくる。
とにかく無くなってしまったものは仕方がない。私にとっての選択権が一つ、無くなってしまっただけだ。ここじゃなくても、他のところで買うことはできる。
私はその場を後にし、近くのデパートへと入るとギフトラッピングができるセットを購入する。
「これ抽選券ですー。良ければ二階のガラガラクジを回してみてくださいね」
「あ……ありがとうございます」
そう高い物を買ったわけじゃないのに、なぜか私は抽選券を貰ってしまった。
まぁ、いっか。どうせ当たるものじゃないのは知ってるし、一等は抽選最終日かその辺りくらいにしか入ってないだろう。
そんなことを思いながらもエスカレーターに乗り、私は二階の抽選受付までやってくることになった。
こんなことになるなら、雨と一緒に来たかったけど……やっぱりこのギフトラッピングのセットを見られるわけにもいかないよね。
手に持った物を見て、そんなことを考えながら列に並ぶ。しばらくすると列の前の方から男の子の泣き声が聞こえてきて、辺りに響き渡った。
「うわああああああん、まだ回したいぃぃぃ!」
「もう三回回したでしょ。わがまま言わないの……」
子どもが嫌いなわけじゃないけど、あんな風に泣き喚かれると流石に顔をしかめてしまう。
人の目があるところでは親が強く言えないのを、子どももわかっているからこんなことができるのだ。
「ああああああああっ! うぅぅぅ!」
ずっとこの声を聞き続けているのは気が滅入ってしまう。私の抽選券で泣き止んでくれるかわからないけど、それで済むなら安いものだ。
私は列を離れ、床に寝転がっている小学校低学年くらいの男の子に抽選券を手渡した。
「はい、これでもう一回だけ引けるから。でも、お母さんのことあんまり困らせちゃダメだよ?」
男の子はすぐさま私から引ったくるように抽選券を受け取ると、ケロっとした笑顔で列に戻っていった。
母親は何も言わず私の方を向くと、頭を下げたか下げてないかわからないくらいの会釈をされ、愛想もなく男の子の後ろへと並ぶ。
子もあれなら、親もそれなり……か。感謝しろとまでは言わないけど、あからさまにそんな態度をとられると気持ちのいいものじゃない。
今日は小物屋さんが無くなっていたし、このデパートも広くて歩き疲れてしまった。インドア派は外に出るだけでも体力を消耗する。その上でのこれは考えものだ。
早く帰りたい気持ちはあった、しかし先程の気疲れもあるようで足取りは重い。
少し休んでいこう。
私はいろいろなことに対してため息をつくと、近くにあるベンチへ腰を落とした。
賞品が載っている看板に目を向けると、それなりの景品が――
「うおぉぉぉぉぉぉ!」
抽選券を貰って泣き止んだかと思えば、ガラガラくじを回す男の子の雄叫びが聞こえてくる。本当に現金な子。
気を取り直し、先程の行動に目を移す。
一等はハワイ旅行。
パスポートなんて持ってないし、英語も喋れないしで、もし当たっていたとしても私には困る代物だ。
だけど雨ならなんとかしてくれそうな気もする、空想の中ではあるが雨との海外旅行は面白そうだと感じた。