君のブレスが切れるまで
第22話 真珠の涙
2017年 12月 クリスマス
クリスマスプレゼントはイヴの日に渡すものではない。世間ではクリスマスイヴがお祭り騒ぎ状態で、クリスマス当日はなぜか終わった雰囲気のある今日この頃。
でも、そう考えているのは私だけかもしれない。クリスマスにデートとか行ったことないし、そもそも異性にそんな親しい相手はいない。
つまり、クリスマスもイヴも私にとっては平日となんら大差はない日。
けれど、今年は違う。今年のクリスマスは、親しい相手のサンタさんに私がなる日なのだ。
「……うぇぇぇ……もうこんな時間」
枕元に置いていたスマホの画面を点けると、既に朝の十一時を回っている。私は起き上がると、壁へと立てかけてあるプレゼントの傘に目を向ける。
以前、おまわりさんによって台無しにされたギフトラッピングを、急遽作り直したのだが――
「少しリボンが縒れてる気がするけど、大事なのは中身だから……」
やはりプロの手に比べると歪んでいたりするのがわかる。私は無理やりにでも納得するが、これでも何度かやり直したのだ。
そして今日、こんな時間に起きてしまったのはどうやって渡そうかと昨日の夜遅くまで雨の動向を窺っていたせいでもある。
だけど寝ている雨の部屋へと入り、枕元へプレゼントを置けるでしょうか? 相手はあの不思議な雨。もし上手く入り込めたとしても、急に目を覚まされ『何してるの』なんて言われた日には、クリスマスが私の命日となってしまっただろう。
「何してるの?」
「ひゃあああああああいっ⁉」
私は驚きのあまり、飛び上がる。神速の速さで振り向くと、そこには赤い眼の少女が立っていた。
「ごめんなさい。ノックしたのだけど返事が聞こえなかったから」
「わっ! わっ! 大丈夫! ちょっと着替えるから出ていって!」
入ってきた雨の体を掴むと、すぐに後ろを向かせドアの外へと押していく。悪いとは思うけど、今、プレゼントを見られるわけにはいかない!
「奏、朝食は――」
「後で食べる!」
そう言って、焦っていたのか勢いよく扉を締めてしまう。
恐らく雨は私の考えに気付いているかもしれないけど、どうしても私の中では秘密にしておいてプレゼントを渡したいのだ。
部屋に一人。静寂と化したこの場所で、私は壁に背をつけ、そのままへたり込む。
クリスマスプレゼントはイヴの日に渡すものではない。世間ではクリスマスイヴがお祭り騒ぎ状態で、クリスマス当日はなぜか終わった雰囲気のある今日この頃。
でも、そう考えているのは私だけかもしれない。クリスマスにデートとか行ったことないし、そもそも異性にそんな親しい相手はいない。
つまり、クリスマスもイヴも私にとっては平日となんら大差はない日。
けれど、今年は違う。今年のクリスマスは、親しい相手のサンタさんに私がなる日なのだ。
「……うぇぇぇ……もうこんな時間」
枕元に置いていたスマホの画面を点けると、既に朝の十一時を回っている。私は起き上がると、壁へと立てかけてあるプレゼントの傘に目を向ける。
以前、おまわりさんによって台無しにされたギフトラッピングを、急遽作り直したのだが――
「少しリボンが縒れてる気がするけど、大事なのは中身だから……」
やはりプロの手に比べると歪んでいたりするのがわかる。私は無理やりにでも納得するが、これでも何度かやり直したのだ。
そして今日、こんな時間に起きてしまったのはどうやって渡そうかと昨日の夜遅くまで雨の動向を窺っていたせいでもある。
だけど寝ている雨の部屋へと入り、枕元へプレゼントを置けるでしょうか? 相手はあの不思議な雨。もし上手く入り込めたとしても、急に目を覚まされ『何してるの』なんて言われた日には、クリスマスが私の命日となってしまっただろう。
「何してるの?」
「ひゃあああああああいっ⁉」
私は驚きのあまり、飛び上がる。神速の速さで振り向くと、そこには赤い眼の少女が立っていた。
「ごめんなさい。ノックしたのだけど返事が聞こえなかったから」
「わっ! わっ! 大丈夫! ちょっと着替えるから出ていって!」
入ってきた雨の体を掴むと、すぐに後ろを向かせドアの外へと押していく。悪いとは思うけど、今、プレゼントを見られるわけにはいかない!
「奏、朝食は――」
「後で食べる!」
そう言って、焦っていたのか勢いよく扉を締めてしまう。
恐らく雨は私の考えに気付いているかもしれないけど、どうしても私の中では秘密にしておいてプレゼントを渡したいのだ。
部屋に一人。静寂と化したこの場所で、私は壁に背をつけ、そのままへたり込む。