君のブレスが切れるまで
第23話 旅行という名の旅路
2017年 12月 下旬
今日から、雨の実家まで遠出することになる。
クリスマスの日、あれから雨はずっとずっと泣き止むことはなかった。
今までどんな時でも感情を表に出さなかった彼女が、どうしてあんなことになったのか私にはわからない。
けれど、今はそれでもいい。彼女のことについてわかる時がすぐそこまで来ているのだから。
「奏、新幹線はこっちよ」
大きなサングラスと赤いカチューシャを身に着けた女の人に声をかけられる。
「えーっと、どなたですかー?」
「置いていくわよ?」
「わー! ごめんって!」
実はこのサングラスをつけている子が雨。似合わないのは百も承知だけど、昨日泣き続けていたせいで瞼がかなり腫れているのだ。
だから私がサングラスを勧めた。
つまり、どなたですかーって言った私が一番悪いのも百も承知。
「ふぅ……ここであってるのかな?」
新幹線乗り場へと着くと、左にも右にも新幹線が到着していない。
「もうすぐ来ると思うから、その間お弁当でも買いましょうか」
「旅の醍醐味ってやつだねー。駅弁売ってる人っているのかなぁ?」
キョロキョロと辺りを見回すが、それらしい人は見つからない。なんだかんだ、私だけがわくわくして子どもっぽい気がする。
「たまに見かけるのだけど、もしかしたらここにはいないのかもしれないわね。それにほら」
雨が指差す方向を見るとホームの真ん中、弁当屋さんがそこにはあった。これじゃ売りに来るわけがないか。
「あーでも、そっちの立ち食いうどんっていうのも気になる」
「新幹線が来るまで後、五分。食べられる?」
「……無理かも」
「食べるのは帰りにして、行きはお弁当にしましょう?」
「覚えてたらそうする!」
私はルンルンといったリズムを取りながら、雨と一緒に弁当屋さんに向かった。
かなり小さなお店。駅のホームにあるのだから当たり前だけど、弁当の量は豊富。
けれど。
値段がちょっと割高だ! 旅の思い出料金というやつだろうか、千円もするようなものが多すぎる。
今日から、雨の実家まで遠出することになる。
クリスマスの日、あれから雨はずっとずっと泣き止むことはなかった。
今までどんな時でも感情を表に出さなかった彼女が、どうしてあんなことになったのか私にはわからない。
けれど、今はそれでもいい。彼女のことについてわかる時がすぐそこまで来ているのだから。
「奏、新幹線はこっちよ」
大きなサングラスと赤いカチューシャを身に着けた女の人に声をかけられる。
「えーっと、どなたですかー?」
「置いていくわよ?」
「わー! ごめんって!」
実はこのサングラスをつけている子が雨。似合わないのは百も承知だけど、昨日泣き続けていたせいで瞼がかなり腫れているのだ。
だから私がサングラスを勧めた。
つまり、どなたですかーって言った私が一番悪いのも百も承知。
「ふぅ……ここであってるのかな?」
新幹線乗り場へと着くと、左にも右にも新幹線が到着していない。
「もうすぐ来ると思うから、その間お弁当でも買いましょうか」
「旅の醍醐味ってやつだねー。駅弁売ってる人っているのかなぁ?」
キョロキョロと辺りを見回すが、それらしい人は見つからない。なんだかんだ、私だけがわくわくして子どもっぽい気がする。
「たまに見かけるのだけど、もしかしたらここにはいないのかもしれないわね。それにほら」
雨が指差す方向を見るとホームの真ん中、弁当屋さんがそこにはあった。これじゃ売りに来るわけがないか。
「あーでも、そっちの立ち食いうどんっていうのも気になる」
「新幹線が来るまで後、五分。食べられる?」
「……無理かも」
「食べるのは帰りにして、行きはお弁当にしましょう?」
「覚えてたらそうする!」
私はルンルンといったリズムを取りながら、雨と一緒に弁当屋さんに向かった。
かなり小さなお店。駅のホームにあるのだから当たり前だけど、弁当の量は豊富。
けれど。
値段がちょっと割高だ! 旅の思い出料金というやつだろうか、千円もするようなものが多すぎる。