君のブレスが切れるまで
 ビール瓶や空き缶が転がっている六畳くらいの暗い小さな部屋で、叔父は膝を立て、私を睨むように見ていた。
 叔父の据わった目、そして低い声。部屋は何もかもお酒臭い……いつから飲んでいるのだろう。
 ああ、怖いな……また始まるのか。
 自分の額を触り、その手を見てみるとわかっていたが血が付着していた。それも大げさなくらい血が出てるみたい。でも、これぐらいじゃ動揺しない。本当に怖いのはここからなのだから。


「ごめんなさい、学校に行ってたんだよ。それでね……ちょっと、学校で定期代を無くしちゃって」


 今度はビール瓶が飛んでくる。だけど、これは当たらない。私の顔の横をすり抜けていき、壁に当たると派手な音を立て、砕け散った。


「あぁぁ⁉ 何やってんだぁぁ‼ 金を無くしただとぉぉ?」
「ごめんなさい……自分で稼いでくるから……」


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