君のブレスが切れるまで
第25話 喧嘩
部屋の中は真っ暗。使われていないと思っていたのに、埃っぽさは感じない。つまり、定期的に人の入った形跡があるということ。
壁伝いに電気のスイッチを探すとそれはすぐに見つかった。付けていいものか、なんだか悪いことをしている気がして、見つかりたくないという気持ちがある。
もう少し小さな電気があればいいんだけど……。
そう思っていると暗闇の中、机を発見することができた。
デスクライトも完備されているみたい、私はそれに触れると部屋全体を照らすには心許ない小さな明かりが点灯する。
「ここ……って」
少しだけ明るくなった部屋を見回す。
思ったよりも小さな部屋。子ども部屋……のようだけど、おもちゃもなくすっきりしすぎている。あるのは本棚と子どもが寝るような小さなベッド。そして、ライトが乗っているこの学習机だ。
机の上には何かの分厚い資料が置いてある。
「んん、えっと、ぶ……ブレッシング……オブ……ザ……アイズ?」
資料の表紙には英語でそう書かれてあった、直訳すれば祝福の眼だけど……。
「う……読めない……」
他のページにはずらりと英語が載っているが、頭が悪いせいかまったくと言っていいほど読めない。何かの情報ではあるんだろうけど、これじゃ……。
それでも諦めず他のページを捲っていると、急にストンと机の横で何かが落ちる音が聞こえた。
「ん、なんだろ……」
読めない資料よりも私の意識はそちらへと向いて、体を傾けながら床へと落ちた物に目を配る。
「……これは」
それを掴むと、私は拾い上げる。
様々なキャラクターがプリントされた黄色い傘。
とても長い間使われたものみたい。ところどころ破けていて、もう傘としての機能は果たせそうにない。
でも……あれ? この傘、どこかで。
「奏様、こちらにいらっしゃいましたか」
「っ――!」
急に話しかけられ、振り返るとそこには執事の総一朗さんが部屋の入り口で立っていた。
「ご、ごめんなさい……勝手に入ってしまって」
「いえ、お嬢様から奏様のする行動に口を出すなと言われておりますゆえ」
「え……」
雨はそこまで私を信じているってことなんだ。つまり、こうやって調べるという行為も雨は知っていた。けど、秘密裏に自分がやってしまったことへ罪悪感が湧いてしまう。
聞けば教えてくれるはずなのに、雨に面と向かって聞ける勇気がない私が悪いんだ。
総一朗さんは、彼女のことをどれくらい知っているんだろう。執事なんだから、やっぱり私以上にたくさん知っているよね。
「あの……総一朗さん、私……雨のこと知りたくて」
「はい、存じております」
「……雨ってどんな子なんですか」
つい雨がいないところでそう聞いてしまう。それについて、総一朗さんは渋る様子もなく知っていることを教えてくれた。
壁伝いに電気のスイッチを探すとそれはすぐに見つかった。付けていいものか、なんだか悪いことをしている気がして、見つかりたくないという気持ちがある。
もう少し小さな電気があればいいんだけど……。
そう思っていると暗闇の中、机を発見することができた。
デスクライトも完備されているみたい、私はそれに触れると部屋全体を照らすには心許ない小さな明かりが点灯する。
「ここ……って」
少しだけ明るくなった部屋を見回す。
思ったよりも小さな部屋。子ども部屋……のようだけど、おもちゃもなくすっきりしすぎている。あるのは本棚と子どもが寝るような小さなベッド。そして、ライトが乗っているこの学習机だ。
机の上には何かの分厚い資料が置いてある。
「んん、えっと、ぶ……ブレッシング……オブ……ザ……アイズ?」
資料の表紙には英語でそう書かれてあった、直訳すれば祝福の眼だけど……。
「う……読めない……」
他のページにはずらりと英語が載っているが、頭が悪いせいかまったくと言っていいほど読めない。何かの情報ではあるんだろうけど、これじゃ……。
それでも諦めず他のページを捲っていると、急にストンと机の横で何かが落ちる音が聞こえた。
「ん、なんだろ……」
読めない資料よりも私の意識はそちらへと向いて、体を傾けながら床へと落ちた物に目を配る。
「……これは」
それを掴むと、私は拾い上げる。
様々なキャラクターがプリントされた黄色い傘。
とても長い間使われたものみたい。ところどころ破けていて、もう傘としての機能は果たせそうにない。
でも……あれ? この傘、どこかで。
「奏様、こちらにいらっしゃいましたか」
「っ――!」
急に話しかけられ、振り返るとそこには執事の総一朗さんが部屋の入り口で立っていた。
「ご、ごめんなさい……勝手に入ってしまって」
「いえ、お嬢様から奏様のする行動に口を出すなと言われておりますゆえ」
「え……」
雨はそこまで私を信じているってことなんだ。つまり、こうやって調べるという行為も雨は知っていた。けど、秘密裏に自分がやってしまったことへ罪悪感が湧いてしまう。
聞けば教えてくれるはずなのに、雨に面と向かって聞ける勇気がない私が悪いんだ。
総一朗さんは、彼女のことをどれくらい知っているんだろう。執事なんだから、やっぱり私以上にたくさん知っているよね。
「あの……総一朗さん、私……雨のこと知りたくて」
「はい、存じております」
「……雨ってどんな子なんですか」
つい雨がいないところでそう聞いてしまう。それについて、総一朗さんは渋る様子もなく知っていることを教えてくれた。