君のブレスが切れるまで

第56話 忘れて

 待ち合わせ時間の最低五分前くらいに行くのが社会の常識。
 しかし、随分前に聞いたルリの話では、女は時間ちょうどに行って『待った?』って言うのがいいらしい。男に『待ってないよー』というベタベタな展開をさせて余裕を持たせてあげるんだとか。
 待ち合わせ場所は、人通りの多い広場の時計前。私はルリの言った通り、時間通りにそこへと到着した。しかし……。
 キョロキョロと辺りを見回してみるも、宮城くんの姿はない。何かあったのだろうか?
 とそう考えてるとスマホが震える。どうやら着信……相手は、宮城くんだ。


「はい、もしもし」
『か、奏先輩! すみません、実はかくかくしかじかで……』


 彼の話を纏めると、一時間前には最寄り駅に到着してたのに待ち合わせ場所の時計広場が地図を見ても辿り着けないのだという。歩いては駅に、歩いては駅にという感じらしい。


 ああ、そういえばかなりの方向音痴なんだっけ……。


 この時点でルリが言っていた彼に余裕を持たせるという作戦は失敗だ。ルリ、この子には通用しなかったみたい。
 ここは待ち合わせスポットとしてはかなり有名な場所だけど、駅までは少し遠い。ちゃんとした場所さえわかっていれば難なく来れるけど、闇雲に歩いて来れるかといえば難しい。地図を持っていれば別だけど、地図を見ても来れないんじゃ、見ない方があの子的には来れるんじゃないかとまで思ってしまう。
 現在の時間は19時33分。レストランの予約時間は20時丁度だ。駅までは歩きで10分。走って信号に捕まらなければ5分で行けるかな?


「わかった。じゃあ、駅まで迎えに行くね」
『本当にすみません……』


 心底悔しそうな声だ。
 まぁ……私も電話をかける時間が遅すぎた。これは私に否がある。
 今日の昼に誘って、今日の夜に待ち合わせなのだから。彼自身も下見に来れる時間がなかったのだろう、だから遅れないように一時間も前に駅に来ていた。遅れてしまってるけど……。


「急がないと、間に合わなくなっちゃう」


 広場の時計を見ると、もう二分経っている。駅まで戻って、そこからレストランに行くのは急いでも20分はかかる。
 間に合うかはぎりぎり、急ごう。
 タッタッタという足音を広場に置き去りにし、私は駅へと向かうのであった。


「はぁ、はぁ……はぁ」



 久々に走るとすぐに息が上がった。自分の体力がこんなにも落ちてることを思い知らされる。だけど、運の影響で信号にはほとんど捕まらず、人ともぶつからなくて駅に辿り着けた。


「電話……はぁ、はぁ」


 スマホを手に取り、電話をかける。


「もしもし、駅についたよ。どこにいるの?」
『駅の前にいます! すぐわかるところにいるんですけど』
「駅の前にいます! すぐわかるところにいるんですけど」


 声の反響? 左右の耳から声が聞こえる……。ん?
 私は左を見ると、前に見たことのある青年の姿を見つけた。


「……そう、見つけた」
『え? 奏先輩はどこに――』
「え? 奏先輩はどこに――」
「ここだよ」


 そういって、私はスマホを下げ彼のシャツを引っ張る。やっと見つけた、本当に世話が焼けるんだから。
 私の方に振り向いた彼は、スマホを耳につけたまま目を丸くして驚いていた。


「か、かかか……奏先輩?」
「うん。久しぶり」


 駅の外だから少し暗かったけど、どうやら顔を真っ赤にしているようだ。隣にいたのに電話してたのが恥ずかしかったのだろうか?


「いや、そ、その……か、か、髪染めたんですね! すげぇ……その、か、かわ……可愛いっす……!」


 まるで中学校を卒業した時の喋り方に似ている。別に、そこまで緊張しなくてもいいだろうに。
 私はウェーブの掛かった髪を指で遊ばせる。


「ああ、うん。イメチェンっていうのかな? そんな感じ。ほら……時間ないから行くよ?」
「は、はい! あ、あの……今日は本当に、お招きいただきありが――」
「ん? うん、そう固くならなくていいから……ね?」


 そう言って先行して歩き始める。ここから20分か……少し急げば、十分間に合う。運のブーストも恐らくかかるだろうし。
 それでも話す余裕はあまりなくて、ほとんど会話もないままレストランへと到着した。席へと案内される前、ようやく私たちは少しだけ言葉を交わす。


「はぁ、はぁ、君はそんなに疲れてないんだね……」
「た、体力はあるんです。奏先輩は、疲れてますね……」


 顔を背けられてそう言われた。耳も赤くなってるみたいだし、思ったより疲れてる? でも、話をする時くらい、こっちを向いてほしいのに……。
 私は、思ったままに彼へ言葉を返した。


「まぁ……うん、駅まで走っ――」


 ああ、言うべきじゃない。君のせいでねって言ってるように聞こえるじゃん。もっと柔らかい言い方にしないと……。


「走って運動にはなったよ? 最近、運動不足でさー。まぁ、ちょっとはダイエットにはなるかも」
「そうですか……でも、すごく痩せてるのにそんな……」


 あんまり食べてないから、そのせいだよ? と内心思いながら、苦笑してしまう。ダイエットと言っておけば大丈夫だと思ってたけど逆効果だったかな。
 レストラン側の準備ができたのか、席へと私たちは通されることになる。
 そう高級なレストランではない。ドレスコードもないし、ある程度のマナーさえあれば問題はない場所だ。
 ここを選んだのは、ちゃんとした場所で彼とお話をしたいと思ったから。


「俺、こういうところ来るのは初めてで……緊張してます」
「その緊張は本当にレストランに? それとも私に?」


 なんて言って、冗談混じりに相手の緊張を溶かそう。どちらをとっても笑ってくれればいいのだけど……。


「っ――!」


 また逆効果だったみたい。何も返答してくれなくなってしまった。
 確か、私に一目惚れしたとは言っていたけどこの冗談は不味かったかな? 好意を持ってくれてる男の人とどう接したらいいのかわからない……ど、どう話そう……。
 なぜか私も彼の緊張に引かれるように、緊張していく。こ、困った。本当に困った。
 でも、いきなり本題に入るのもおかしいだろう。雑談、雑談……。


「ね、ねぇ? 高校生活はどうだった?」
「は、はい! それなりに……」
「そ、そうなんだぁ……」


 また沈黙。


 えぇぇ……ど、どうすればいいの? ルリ先生、教えて!
 なんてこの場にいないルリのことを叫んでも、教えてくれるわけはない。興味が無く、聞き流していたルリの大好きな恋バナをちゃんと聞いておけばよかった。後悔して思い出そうとしても、例の待ち合わせのネタくらいしか出てこないし、覚えてない。
 ……はぁ、そもそもなんで緊張しないといけないわけだろうか。早く本題に行けばいいだけの話、手順とかそんなのあんまり関係ないはずなのに。


「宮城くんあの――」
「ご注文はお決まりでしょうか?」


 …………タイミング悪い。どうなってるの、私の運……運?


 このタイミングで店員さんが来たってことは、運がわざわざ私の言葉を止めたということ。これは何かある、私の運は雨が掛けてくれた祝福で裏切ることはないって知ってるから。
 一つ咳払いをすると、背筋を伸ばして店員さんの方へと向き直った。


「今日のおすすめの一品でお願いします。宮城くんもそれでいい?」
「は、はい! 喜んでいただかせてもらいます!」


 その返答は少しおかしいと思うんだけど……まぁ、いっか。
 じゃあそれでと店員さんに言うと、オーダーを通しに店の奥へと消えていった。
 さて、じゃあ今の状況で本題を話すべきではないことは確かだ。少しだけ、軽くお喋り、食事をして最後に伝えようかな。


 そう決めると本当に他愛のない話をして、私は彼の緊張を解していった。でも、私が笑う度に彼は赤くなって、攻めては引いてのなかなか前に進まない。
 食事が始まってからは更に会話が薄くなり、結局、私では彼の緊張を解くには力不足のようだった……。ああ、自分がダメダメだなぁって痛感する。
 結局レストランでは話せず終いになった。


 夜の街、私たちは外へ出ると目的もないままふらついていく。


「奏先輩、今日はご馳走様でした。金があったら俺が出すつもりだったのに……」
「ううん、私が誘ったんだからいいんだよ? それに、学生がお金に苦しんでるのは知ってるから」


 昔、私もお金に困ったことがある。その為に、知らない男と腕を組んで歩かなくてはいけなくなってしまった。とても、苦い記憶だ。


「奏先輩、昔よりもずっと明るくなりましたよね……昔は笑ったりしなかったし、本当に無表情だったのに……イメチェンとかも」


 確かに宮城くんと会ってから、笑ったのは今日が初めてだ。イメチェンもすれば、変わりように驚いても仕方ないだろう。


「うん、私の大切な人があるものを残してくれててね……そのおかげで今の私があるんだー」
「そう……なんですか」


 落胆している感じの声。……? なんだろう、この感じ……何か黒い感情だ。
 丁度歩いてたところの近くに緑地公園があったので、そこへと入る。
 私の戸惑いは消えない。一体、急になんだろう……この感覚は。


「なんで奏先輩は今日、俺を誘ったんですか?」
「あ、う……うん。実は、この前の告白? のことをちゃんと伝えてなかったなって……」


 黒い感情が色濃くなる。これは、嫉妬……? どうして嫉妬?


「今日、いろいろと迷惑かけたのは謝ります。本当すみませんでした……でも、いや……大切な人が残してくれたとか聞いた後に、もう一回フラれるっていう展開はちょっと、つ、辛いといいますか……」


 あれ? おかしい、何か勘違いしているみたいだ。私はフるとかそういう話をする為に来たんじゃないのに、あれ……あれれ?
 と、とにかく誤解を解かないと。


「え、えっとね? その、フるとかフラないとか、そういうんじゃなくって……私にもやりたいことがあってね……」


 いや、私のやりたいことを言ったらフるということになっちゃうのかな、いや、お付き合いしたりするわけじゃないと直々に言うんだから、そうなる……なっちゃうのか……。
 その先の言葉が出なくなって、地面へと顔を俯けてしまった。
 言葉に詰まると、もう話せなくなる。ダメだな、この悪いところ……やっぱり治ってないや。


「す、すみません……ちょっとでしゃばりました。先輩って彼氏さんとか……できたんですよね? そのイメチェンも彼氏さんの為にしたとか……全然笑わなかったのに、今日会ったら笑ってくれたり……」
「…………」


 言葉が頭に入ってこない。私は変わるんでしょ、ちゃんとしないと……! 逃げちゃダメなんだから!
 すぅっと息を吸って、割り込むように私は大きな声をあげた。


「宮城……くん!」
「は、はい!」


 彼は驚いたようにピーンと気をつけのポーズを取ると、喋るのを止めた。
 彼の後ろの黒い感情は消えていない。男と女で、こんなにも喋るのが難しいのかと落胆しそうになるけど、言ってられない。今は運が私を止めないのだ。なら、告げる、告げられる。
 私のやりたいことを。私にしかできないことを。


「私、やりたいことがあるの。実現できるかまだわからないけど、途方もない話で嘘だと思われるかもしれない」


 コクコクと頷く彼、ちゃんと話は聞いてくれているみたいで良かった。
 だけど、この先のことをちゃんと真面目に聞いてくれるだろうか? いや、話すんだ。その為に彼を呼んだのだから。


「宮城君はさ。人を救いたいって思ったことはある?」
「え……どうして急に……」
「どうかな? 思ったことはある?」
「それは……はい、救うっていうか……困ってる人がいるなら助けたいとかは思ったことあります」


 うん、いい回答だと思う。
 だけど、他人から聞かれれば誰もがそう言うだろう。人は黒い部分を他人に見せたくないものだから。


「それじゃ君はこの世界に多くの危険地帯、紛争地域があるのは知ってるかな?」
「は、はい……漠然としてますけど、戦争は今もあると聞いたことがあります……」


 それが普通の人の回答、かく言う私もそうだ。漠然としていて、イメージする程度にしか思い浮かばない。


「私のやりたいこと。それはね……そういう危険なところへ赴いて、傷ついた人々を救いたいの。突拍子もないでしょ? あまりにも現実味がなくて馬鹿らしいでしょ? 笑っちゃうでしょ?」


 この平和な国に生まれ、紛争などとは縁遠い話だ。誰が聞いても笑うだろう。
 しかし、彼は笑いもせずに驚いたまま絶句していた。


「私には……医学の心得があるから。目で見て、確かめたいの。それで、この手で救える命があるなら救いたい。こんな最低な世界でも、生きていたいって思う人の命を」
「な……何言ってるんですか。そんなの危険なんですよ? 死ぬかもしれないんですよ⁉」


 ようやく口を開いてくれたと思ったら、そんなこと。
 死ぬ……か。うん、その過程で死んでしまうのなら、それでもいい。
 雨のように生きたかった未来を奪われるような人が救えるなら、私はその半ばで命を失っても構わない覚悟だ。
 元々、この命は捨てようとしたものなんだから。


 雨は、こんな突拍子もないことを言った私でも応援してくれた。だから、私の後ろ盾にミヤノジョウグループをつける算段まで立ててくれたのだ。
 とは言っても最初から応援してくれたわけじゃない。雨に話してからも、雨はやっぱり危険だからと反対していたのは今でも記憶に新しい。


『どうして? 奏はどうしてそんなに危険な道に進もうと思うの? 人は俗悪で救えない人種だっているわ。戦争だって、お金のために人が(けしか)けているようなものなのよ?』
『それでもね……戦争を本当はしたくないって、雨みたいに生きたいって思う人はたくさんいるんじゃないかな』
『それは……』


 そんなのいない、いるわけがない。
 私を守るために雨はそう言いたかったんでしょ? そんなに苦虫を噛みしめたような表情をして。
 表情の全てを取り戻した雨はすごくわかりやすい。たとえ私を守るための嘘でも、もう私に嘘は言いたくないんだよね……。


『ごめん。けれど、私の考えで一方的に否定するつもりなんてないの。雨の言うとおり、私もこの世界は最低で、最悪で、救えないものかもしれないって意識的にはわかってるから』
『なら! なら……奏はもっと幸せになるべき。そんな世界から目を背けて、桜田さんやその男の子、奏をわかってくれる人の場所にいるべきよ』
『雨は優しいね。どんなに生きなくちゃって思ってても、やっぱり雨の側に早く行きたいって思う自分もいるの……』


 わからず屋の私。そんな雨は歯を食いしばりながらも最大限の譲歩をしてくれた。


『…………三年』
『え?』
『彼は奏と同じ大学を受けたのでしょう? なら、三年。三年だけ、紛争地域で現実を、その目で確かめて来なさい』
『雨……』
『その後、その見てきたことを生かして何かを成し遂げて。それまで死んじゃダメ、こっちに来ても追い返すんだから……』


 それが私に課せられた、雨からの条件。雨が最後に残した私への願い。


『わかった……三年。三年だけ、もっとも死を近くに感じる場所へ行く。そして一人でも多くの人を救ってみせるよ』


 私がそういうと、雨は少しだけ辛そうにしながらも微笑んでくれた。


『ええ、なら私も応援するわ……奏の愛を、人々に分け与える愛を信じる』
『うん、信じていて……』


 そこからは雨が消えるその時まで、彼女の知りうる限りの話術、そして運の使い方を教えてくれた。
 一朝一夕などという文字通りの時間なんてなく、雨の体にノイズが走る一刻一秒を争う時の中。覚えの悪い私が覚えられたのはせいぜい雨の百分の一……それにも満たないかもしれない。ダメだと思えば、そこから先は運頼みになる。それでも何もないよりはマシ、ミヤノジョウグループへの脅しもその時に教えてもらったのだ。


「そうして私の大切な友人……雨は、背中を押してくれたんだよ」
「……そんなの、そんな……」


 誤解が解けたのか、黒い感情……嫉妬が彼の背から消えていく。大切な人、それを私の彼氏だと思い込んでしまってたんだね。
 ううん、本当ならそう思い込ませたまま諦めてもらったほうがよかったのかもしれない。


「三年……君が大学を卒業して、立派な大人になった時……それでも私のことを忘れないでいてくれるなら。その時は、改めて君のことを教えてほしい」


 彼は納得出来ないように、肩を震わせている。


「……本気で、本気で言ってるんですか? それで死んだら……」
「死んじゃってもいいって思ってたけど、待ってくれてる人がいるなら別かもね? それが死ねない理由になるかもしれないし、それとも絶対振り向かせて見せるって言ってくれた言葉は嘘だった?」


 なんて、別に待ってくれなくてもいいの。
 誰か他に好きな人を作って、私なんかのことは忘れて、幸せなひと時を過ごすのが一番だから。
 多分、こんなことができるのはこの世界で最高の運を持つ、私だけ。だから、君は私なんかを待って不幸になる必要はない。
 でも、最後の言葉だけは意地悪だったかな?


「…………ちますよ……」
「え?」


 よく聞こえなかった。
 下を向いたままの彼はグッと力強く顔を上げ、私の眼を見て、今度は聞こえるように確かに言ってくれた。


「待ちますよ! 俺は、奏先輩を振り向かせるって言いました! 俺、本気で……本気で奏先輩のこと好きなんですから!」
「……宮城……くん」


 ……私も馬鹿だけど、この子もお馬鹿だなぁ。私以上にいい子はたくさんいるだろうに、君みたいに純粋な子なら、絶対他の子とだって幸せになれるはずなのに。
 私は彼に抱き寄せられると、今までとは違う感覚を覚えた。ごつごつとした体、硬い肉質。女の子に抱きしめられたことは何度もあるけど、何もかもが全然違う。だけど、不思議と嫌な気持ちにはならない。
 彼の胸へ顔を埋めると、どうしてか私の心臓がトクンと跳ねる感じがした。


「……馬鹿だねー、君は。なんで私かなぁ?」
「奏先輩こそ、馬鹿です……死ぬかもしれないほどの危険な場所に行って、知らない誰かを助けようなんて……俺は奏先輩に生きていてほしいのに……」


 うん、君の言っていることはまともだよ、宮城くん。
 君が思うように、誰もが今ある平穏を捨てたいなんて思っていない。
 この最低な世界にあるのは汚いものばかりで、目を塞ぎたくなる現実ばかりだけど。もしも、それでも生きたいって思う人を、死にたくないって思う人を救えるのが私しかいないなら。


 ごめんね、それが私の……私にしかできないことだから。
 三年、そう……三年待ってて。そしてその三年で、できるなら私を忘れて他の子を好きになっていてほしい。
 この跳ねた心臓の……微かな胸の痛みが、ただの勘違いだったと……そう、思わせて。
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