君のブレスが切れるまで
 暗く、畳張りの六畳の部屋。けれど、タンスや叔父の荷物が多いせいで使えるスペースは半分くらいしかない。
 叔父の所有物を勝手に動かしたりすると怒られたことがある。迂闊に触ることも許されない中で、自由に使えるのは布団と部屋の中央に置かれた小さな折りたたみテーブルくらいだ。


 電気もつけず、テーブルに置いてあったヒビの入った鏡を覗いてみる。
 我ながら酷い顔。日頃のいじめ、暴力によりやつれている。それに、今日は額から顔まで血が流れてきてる。先に手当しておかないと。


 私は自室に保管してあるプラスチックの救急箱を開くと、たくさんの治療道具が詰まっていた。
 この救急箱には一通りの物が揃っている。お金がまだあった頃は、まず治療道具を揃えることに専念した。これは私のライフラインで、無くなれば傷の治りがたちまち遅くなる。そうなると、痣に殴打を受けた時、更に痛いのだ。


< 27 / 270 >

この作品をシェア

pagetop