君のブレスが切れるまで
 私は投稿文を考え、打ち込んでいく。
 その文はまるで自分が打っているものじゃないみたい。全くの別人、明るいような、それでいて軽そうな言葉。
 自我を捨て、見知らぬ他人になりきり羅列していくテキスト。それは数分もしないうちに完成した。


「これで、よし……後は投稿するだけだ」


 震える指をスマホの画面に近づけていく。


「……な、なんで……どうしてこんなに震えるの……今すぐお金が必要なのに」


 なかなか投稿するボタンを押せない。やってしまえば、戻れなくなる気がしていた。
 でも、文字にはおかしいところはない、ただ遊ぶだけと書いてある。性行為なんてないはずだ。


「お、お願い……」


< 30 / 270 >

この作品をシェア

pagetop