君のブレスが切れるまで
「はい、好きです。かわいいですよね」
笑顔を作って嘘をつく。
猫、その話を聞いた後、高架下でフェンス越しに黒猫と戯れている人を見かけた。座ったまま赤い傘を差した人だ。赤い傘を持っている人なんていくらでもいる。今日だって駅で何人も差している人がいた。
でも、なぜかその姿に違和感を覚えたのだ。この感覚はきっと、その場に映えない不和が生んだものかもしれない。だって高架下じゃ雨は降らない、でもその人は傘を差している。そして、その姿をどこかで見た気がしたから。
――まさかね。
私は違和感を拭い去るように、心の中で呟く。
あの時の女の子であるはずがない。あれからもう随分と時間が経っているし、そもそもここは学校の近くじゃない。この辺りにいるのは不自然すぎる。でも、目が……目が離せない。
私が横目でその人を見ていると、視線に気づいたかのようにその人は急に立ち上がり、その姿を見せた。
私と同じセーラー服、長い黒髪、そして――
――赤い眼。
咄嗟だった。目が合うタイミング、それと同時に私は顔を逸らしていた。
なんで……ここにいるの?
笑顔を作って嘘をつく。
猫、その話を聞いた後、高架下でフェンス越しに黒猫と戯れている人を見かけた。座ったまま赤い傘を差した人だ。赤い傘を持っている人なんていくらでもいる。今日だって駅で何人も差している人がいた。
でも、なぜかその姿に違和感を覚えたのだ。この感覚はきっと、その場に映えない不和が生んだものかもしれない。だって高架下じゃ雨は降らない、でもその人は傘を差している。そして、その姿をどこかで見た気がしたから。
――まさかね。
私は違和感を拭い去るように、心の中で呟く。
あの時の女の子であるはずがない。あれからもう随分と時間が経っているし、そもそもここは学校の近くじゃない。この辺りにいるのは不自然すぎる。でも、目が……目が離せない。
私が横目でその人を見ていると、視線に気づいたかのようにその人は急に立ち上がり、その姿を見せた。
私と同じセーラー服、長い黒髪、そして――
――赤い眼。
咄嗟だった。目が合うタイミング、それと同時に私は顔を逸らしていた。
なんで……ここにいるの?