君のブレスが切れるまで
「ここで休憩しよっかー」
「は……はぁ……」


 ライトアップされたその建物はまるで、さっきまで歩いていた高架下や学校とは違う。この世界とは別のような、幻想的な建物だった。
 こんな建物の中に休憩スペースがあるのかな……路地でチラっと見た看板にも何千円なんて書いてあったけど、そもそも私はお金を持っていない。彼が出してくれるのだろうか。


 建物の中に入ると、少しだけ薄暗く広いスペース。それなのに私たち以外、誰もいない。監視カメラはあるけど誰もいないなんて、本当に不思議なところ。
 休憩するには静かでいい場所かもしれないけど、なんとなく気分が落ち着かないのはなんでだろう。


「こっちこっち」
「あ、はい」


 何かのパネルの近くで私を呼んでいて、そのままエレベーターの方へと歩いていく。
 上が休憩スペースなのかな。私は痛む足を男に悟られないよう、ゆっくりと歩き、男の隣へと立つ。到着を告げる高い音が聞こえると、エレベーターの扉が開いた。
 誰も乗っていない。私と男はそのエレベーターへと乗り込むと、男は四階のボタンを押してくれる。


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