君のブレスが切れるまで
「ほら、これ欲しいんでしょ? なら黙ってヤラせろよ!」


 男がポケットから三万円を取り出すと、それで私の頬を叩く。
 強い言葉は怖い、男の人の怒ったような声はすごく怖い。


 やだ……嫌だ。誰か助けて。


 記憶の片隅で赤い眼の女の子を思い出す。
 あの子がどうしたと言うのだ。ほとんど話したこともないのに、この状況からどう助けてくれるというのだろうか。


 本当はわかってる。誰も助けてくれないことくらい。
 もうここには私と、この男の二人しかいない。でも願わずにはいられなかった。諦めてしまえば、それこそ終わりだから。そう、終わりのはずなのに……。
 男は私のセーラー服を脱がそうとしてくる。にもかかわらず、私は抵抗ができなかった。暴れて、相手を殴ったりすれば、きっと酷く殴られると思ったから。


「いや……いやぁぁ……いやぁぁぁぁ!」


 私は両腕で顔を隠し、声だけで力いっぱい否定を示す。抵抗はこれくらいしかできない。男は私のセーラー服を上手く脱がすことができず、痺れを切らし力任せに捲りあげた。それでも私は何度も拒むように叫ぶ。


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