君のブレスが切れるまで
「……さ……寒い……」


 体を抱くようにして、私は寒さを凌ごうとする。六月と言えども雨に濡れた体への夜風は、私の体温を容赦なく奪っていく。


 とにかく家に帰ろう。早く帰ってお風呂に。
 ……でも、もし叔父が先に帰っていたらどうなるだろう。もしギャンブルで負けていたら、また殴られるのだろうか? 家に入れて貰えない可能性だってありえる、もちろん殴られた上で。


 帰りたくない、このお金を使ってネットカフェにでも泊まろうかと考える。やはり、汚いお金と言うだけで手元に残る定期には使い難かった。
 私はポケットからスマホを取り出す。少し湿ってはいるが、問題なく動く。防水で良かったと心から感謝した。濡れた指で画面を滑らせ、ネットカフェについて調べていく。検索に引っかかったのは数多く、近場にも何店舗かある。でも、どれを調べても問題があった。


「……高校生じゃ泊まれないんだ。もし会員証を作らなくてもいい場所があっても、流石に……この服じゃバレるよね」


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