君のブレスが切れるまで
「別に無理して話さなくてもいい」
「え……?」


 驚きの声が漏れる。
 口には出してなかったはず……なのに、どうして彼女は私の考えていることに答えたの?


 ――じゃあ、この声が聞こえる?


 私は頭の中でそう考え、なんて馬鹿らしいことをしているんだろうと急に苛立ちが募り始めた。


「なんか、心の中を覗かれてるようで……嫌」
「…………」


 私は冷たく言い切ると、彼女は何も言わずに黙った。
 なぜこの人相手だと、こんなに強く言い切れるのだろうか。私が私じゃない気分で、罪悪感が溢れてくる。


「今も死にたい?」


 彼女はそう聞いてきた。
 そうだね、死にたいよ。ずーっと死にたいって思ってる。きっと、貴女に助けてもらわなくても、蹴られていたかどうかの違いで、死ぬことは叶わなかっただろうけど。


「それ……さっきも聞いてきたよね。何なの?」

 
< 57 / 270 >

この作品をシェア

pagetop