君のブレスが切れるまで
 今日で二度目のセリフに、吐き捨てるような強い口調で返す。
 なんで私はこんなに苛立っているのだろうか?
 理解できない。この人を見ていると、変な気持ちになる。心がかき乱されるような、自分のどす黒い部分が見られそうな。


「答えて」


 さっきは喋らなくてもいいって言ったくせに、今なら無理にじゃなく、話せるとでも思ったの?
 本当に嫌……。嫌なはず。


 心を読まれているような、でも完全に読んでいるわけじゃないみたい。まだわからないけど、信用するべきじゃない……そう思っているはずなのに、私は赤い瞳に魅了されたようにこの人のことがとても気になった。


「……死にたいって思ってるよ。ずっと死にたいって思ってる! そう言えば貴女が私を殺してくれるの⁉」


 素直にそう答え、彼女に聞き返す。
 この言葉に貴女はなんて言ってくれるの? ねぇ、偽善者さん?


「いいえ、私は貴女に生きてほしいと思ってる」


 この人は淡々とした言葉でそう言ってのけた。


 は? なんで? 私にこれ以上の生き地獄を見ろって言うの⁉ 冗談じゃない、私は今すぐにでも死にたいって言うのに。


「何なの……それが言いたいだけなら、私はもう行くから」


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