君のブレスが切れるまで
 私は帰り道、キョロキョロと回りを見渡しながら駅へと歩いていった。朝はあんなに晴れていたのに、雲が流れてきたのか空は黒い雲が立ち込めてきている。
 宮城さんは確か、傘を持っていた。雨が降ると予想していたのかな? 天気予報では雨は降らないとされていたはずなのに。
 不思議な人だったなと考えながら人通りの少ない細道を歩いていると、高架下、フェンスの向こう側で三人の女の人を見かける。


「そういえば、あの先輩とかどう?」
「友達も少なそうだし、告げ口とかもしなさそーだね」
「よくもまぁ、あんたたち……ま、せっかくのおもちゃだし? 壊せるなら、あたしはいいけど」


 私と同じセーラー服。
 同級生か先輩までかはわからないけど、話からしてかなり不穏だ。関わると絶対に面倒な事になる。
 目を合わせないように少しだけ急ぎ足で通り抜けていく、すると笑い声が聞こえてきた。フェンスの向こう側だから追いかけてくることなんてない、だから聞こえないふり、ううん、聞かない。
 心臓の音を高鳴らせ、私は逃げるようにその場を後にする。


「ふぅ……ふぅ……怖かった……」


 あの三人に言い表せない恐怖を感じつつも、私は駅に到着し、そのまま帰路につくことができた。明日から本格的に高校生活が始まる。とりあえずだけど友達もできそう、楽しい高校生活になるといいな。


 しかしその日を境に宮城さんは約二ヶ月間、学校へ出てくる事はなかった。そして始まる暴力という名のいじめ、その地獄の日々を私は味わうこととなる。
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