君のブレスが切れるまで
 人通りが多い場所へと出る。誰も彼も私には見向きなんてしない。ただの他人、私が死のうと思っている人間だとは思っていないだろう。


 どうすれば楽に死ねるだろうか。やっぱり、飛び降りが一番だろうか。頭から行けば、まず即死できるはず。
 私は辺りの高い建物を見渡しつつ、屋上に入れそうなところを探していく。


「……あそこなら」


 少し高い雑居ビル。
 私はそこに決め、内部へと入っていく。そしてエレベーターへと飛び乗り、屋上のボタンを押した。


 もうすぐ死ねるんだ。あぁ……もっと早く行動していれば良かったかもしれない。
 不思議と高揚感が高まってくる。自分でも訳がわからないほど笑顔かも。


 重力が体に掛かる。そしてエレベーターは止まると扉が開いた。


 逝っちゃえ、死んじゃえ!


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