君のブレスが切れるまで
第一章 再会 【2017年6月】

第1話 いじめと再会

 いじめからは誰も助けてなんてくれない。だって助けてしまえば、次は自分が標的となりかねないから。誰もが自分から標的になりたいなんて思わないのだ。標的が決まっている内は安心して、見てみぬふりする側、いじめる側として存在することができる。だから誰も私を助けようとしないし、私の為に何かをしてくれたりはしない。先生だって気づかないふりをする。


 きっと、私だって彼らの立場ならそうする。力なきものは暴力によって蹂躙されるし、それは昔から変わらない。大人だって嫌いな人がいれば爪弾きにして、悪口を言う。どんなに愛し合っていた人ですら、嫌いになれば互いの嫌な所を愚痴るのだから。
 私は彼女のことを……登校初日に話した宮城(みやぎ)さんのことを既に忘れていた。それくらい、この二ヶ月はすごく辛かった。自分の臆病な性格が更に悪い方に捻じ曲がるくらいに。


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