君のブレスが切れるまで
 少しだけ思い出す。入学式の日、彼女と話した時のことを。
 お互いの名前までは知らなかったはずだ、だから改めて自己紹介がしたかった。



宮城(みやぎ)さん。私の名前、赤坂(あかさか) (かなで)って言うんだ。音楽を奏でるって言うあの字」
「素敵な名前ね」


 彼女は知っていたのかも、特に驚いた様子はない。


「宮城さんの名前も……教えてくれる……?」


 眠い、眠いながらも私はそう言った。頭がぼーっとする、今度は喉が渇いているとかじゃなく、とても眠いみたい。
 彼女がゆっくりと口を開くのが見える。


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