君のブレスが切れるまで
 §


 汗で体がじっとりして、最悪な気分で目が覚めた。彼女が枕元に置いてくれていたのか、ガラスでできたデジタル時計を見ると、既にお昼を過ぎている。


「喉乾いた……」


 時計の横に置いてあったスポーツドリンクの封を切り、カラカラに乾いた喉を潤していく。
 飲みながら部屋を見回していると、この部屋の主がまだ帰って来ていないことがわかった。


「ん……ふぅ。昼休みも半分終わるのに、帰ってきてないんだ」


 私は立ち上がり、一気に飲み干したスポーツドリンクを机の上に置く。
 熱も下がってる気がするのに、思ったより体がふらつく。足が痛いせいかな?
 赤い眼の女の子が置いていってくれた弁当が目に入る、消化に良さそうなお粥だ。


「そっか。私、一日以上食べてないのか……」


 一日くらい採らなくても平気だとは言っていたけど、もう一日以上になる。
 そりゃふらつくわけだと、彼女が置いていってくれたお粥の封を切った。
 手をつけなくても良かったのだけど、部屋の主に嫌がることをしたいわけじゃない。ただ……そう、お腹が減ってるからもらうだけ。


 熱くして食べたいけど、レンジもなにもない部屋。残念ながら、諦めることにし冷たいままのそれを食べていく。


「冷えてても、まぁまぁいけるかな……」


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