政略結婚から始まる蜜愛夫婦~俺様御曹司は許嫁への一途な愛を惜しまない~
『初めて抱く感情』
「ごめん、凛々子。さすがにもう食べられそうにない」

「全然大丈夫! ごめんね、作り過ぎちゃって」

 あぁ、またやってしまった。

「明日の朝にまた食べるから、ラップしておくよ。凛々子は早く食べちゃいな」

「うん、ありがとう」

 まだ食事途中の私を気遣い、席を立ってラップを取りにいった零士君に、申し訳ない気持ちでいっぱいになる。

 零士君の喜ぶ顔が見たい。私にできることといえば、ご飯を作ること。そうなると張り切り過ぎてたくさん作ってしまう。

 こうして夜のおかずが朝食や、零士君のお弁当にいくことはここのところ多い。

 それなのに嫌な顔ひとつせず、最後まで食べてくれるのがすごく嬉しい。

 だめだな、私。確実に零士君のことを好きになっている。

 次の日の午後。千鶴ちゃんに相談したくて会える日がないかと聞くと、さっそく大学終わりに立ち寄ってくれた。珈琲とお菓子を用意すると、さっそく本題に入った。
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