政略結婚から始まる蜜愛夫婦~俺様御曹司は許嫁への一途な愛を惜しまない~
「もし家事が凛々子の負担になっているなら、家政婦を雇おうかと思っているんだけど」

 同じ話を繰り返し伝えると、凛々子は慌て出した。

「そんな、いいよ。家政婦さんだなんて。私なら大丈夫!」

 そうは言われても引き下がれない。

「本当に? 無理していない?」

 最近の凛々子を見れば、どうしても負担になっているようにしか思えない。

「本当に大丈夫だから。私にできることといえば、これくらいしかないもの。それまで取り上げないで」

 大きく瞳を揺らして意味深なことを言うと、凛々子は黙々と箸を進めていく。

 それ以上聞いてはいけない雰囲気に、「わかった」と言うしかできなかった。

 家事が負担になっているのかもしれないと思う一方で、もしかしたら十日ほど前に綾子と三人で食事をしたのがまずかったのではないかと考えていた。

 できることなら過去をやり直したいほど後悔していることがある。凛々子を諦めたくて、綾子をはじめ、複数の女性と関係を持った。
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