政略結婚から始まる蜜愛夫婦~俺様御曹司は許嫁への一途な愛を惜しまない~
 父さんからトップの座を引き継いだらなおさらだ。

 どんなに俺が守ろうとしたって、限界があるかもしれない。守ることができない場合も出てくるかもしれない。

 それに気づき、凛々子は俺との結婚に嫌になったのでは? その可能性も十分あり得る。

 しかしそれを凛々子に直接聞く勇気が出ない。できるなら頼りたくなかったけど、仕方がない。

 この日の夜、凛々子が風呂に入っている間に千鶴に連絡をして、三日後の昼に会う約束を取りつけた。高いランチ代と引き換えに。



「お兄ちゃんって本当に最低だよね。女心をまるでわかっていない。そんなんじゃ凛々子ちゃんに愛想尽かされちゃうからね」

 約束の日。千鶴は会うなり開口一番に容赦なく責め立て、俺は先制攻撃を受けた。

「だからこうしてお前に相談に乗ってもらおうと思ったんだろ? わざわざこのホテルのランチを予約してまで」

 言葉に棘を生やして言うと、千鶴はにっこり微笑んだ。
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