政略結婚から始まる蜜愛夫婦~俺様御曹司は許嫁への一途な愛を惜しまない~
「凛々子ちゃんは、お兄ちゃんと綾子の関係が気になっているんだよ! 食事中にふたりで仕事の話をしたり、綾子のことを『綾子』って呼んだりしていたんでしょ? そんなの普通に嫌に決まってるじゃない」

「ちょ、ちょっと待ってくれ千鶴」

「なに!?」

 興奮冷めやらぬ千鶴に、頭を整理しながら聞いた。

「千鶴の話を聞いていると、凛々子が俺のことを好きなようにしか聞こえないんだけど」

 たしかにここ最近、凛々子との距離が縮まっているという実感はあった。でもまだ好かれているとは思えない。

 だけど違ったのか? 俺の想いは凛々子に届いている?

 その答えを知りたくて返事を待つ。すると千鶴は思いっきり顔を逸らした。

「そんなの私の口から言えるわけないじゃない!」

「ここまで言っておいてか?」

 思わず突っ込めば、千鶴は子供のように俺に向かって、あっかんべーをした。
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